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『街道をゆく 20 中国・蜀と雲南のみち』:雨読夜話

ここでは、「『街道をゆく 20 中国・蜀と雲南のみち』」 に関する記事を紹介しています。
街道をゆく 20 中国・蜀と雲南のみち (朝日文庫)
街道をゆく 20 中国・蜀と雲南のみち (朝日文庫)
司馬 遼太郎
朝日新聞出版 2008-12-05

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司馬遼太郎の紀行シリーズの第20作で、四川省・雲南省への旅について書かれている。
前作である江南のみちに続いての中国の旅で、考古学者の森浩一氏らが同行している。

著者たちが最初に訪れる四川省の省都である成都周辺は三国志の舞台として知られる蜀の地で、当然三国志関連の話が出てくる。
その中では三国志の著者である陳寿が蜀の出身だったために蜀びいきで書かれたと思われるところや、諸葛孔明が劉備にとっていい家臣だったのと以上に劉備が孔明にとって自身の策を受け入れてくれるいい主君だったという話、孔明は実は法家思想で厳しい政治を行いつつも清廉な人柄で人気が続いてきたというすごさなどについて書かれているのが面白い。

また、紀元前である戦国時代に秦の太守だった李氷(りひょう)によって都江堰(とこうえん)という名のダムが建設され、現在に至る2000年以上もその恩恵を受け続けているという話にはかなり驚いた。

蜀との関連で知られる人物としては、唐代の詩人である杜甫についても触れられている。
杜甫は官吏登用試験に合格できずに不遇の生活を送ったというイメージがあるようだが、実際に働いたことはほとんどないという。
どうやら昔の中国にいた知識人階級というのは官僚になれない場合、働いたら負けかなと思ってる人たちのようで、この点日本より年季が入っている・・・

他には現地在住の温という歴史研究家との会食では、フィールドワークも重視する立場の森浩一氏がすぐに温氏は文献のみで歴史を語るタイプだと気付いたためにまともに議論する気をなくすところがきっちり書かれていて、先日読んだ森氏の著作とあまりに符合していたので笑ってしまった。

蜀に続いての雲南での旅では、イ族というタイ系の少数民族の話が多く、著者は江南や日本に稲作を伝えたのが彼らの祖先なのではないかということを書いている。
また、この地で出土した漢の時代における「滇王之印」の話や、雲南は実は高原のためか照葉樹林帯ではなく針葉樹林帯だったという事実、それから明代に永楽帝の命令でマダガスカルまでの大航海を行った鄭和が雲南出身というエピソードなどが書かれていてこれらの話も興味深い。

街道をゆくシリーズは著者の知人に関する話や自身の昔話などに少々まどろっこさを感じないでもないが、さまざまな歴史雑学や想像が書かれているところがいい。
他のシリーズもさらに読んでいくつもりである。




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