『イスラエル―ユダヤパワーの源泉』:雨読夜話

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イスラエル―ユダヤパワーの源泉 (新潮新書)
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三井 美奈
新潮社 2010-09

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読売新聞の特派員による、現地での取材を元にイスラエルの政情や歴史的背景などについて書かれている本。

まずはイスラエルがアメリカと軍事同盟を結んでいないにも関わらずアメリカの協力を得ていることや、その背景としてのアメリカ国内でのユダヤ・ロビーの活動について書かれている。
ユダヤ・ロビーはカネと票で議員に圧力をかけ、反ユダヤとされる大物議員を失脚させてアピールすることもたびたびである。
このあたりを読んでいくと、アメリカを動かすにはどうすればいいかという権力論のケーススタディにもなりそうに思えた。

ただ、基本的にアメリカのユダヤ・ロビーはタカ派なのでイスラエルからすると援助自体はありがたいが力で解決する方向の主張で中東和平の障害になる面もあるとのことで、なかなか複雑である。

イスラエルが国際的に非難を浴びても武力闘争を続けている背景には、これまでユダヤ人がたどった歴史が影響している。
(キリストもユダヤ人だが)キリストを殺したというレッテルを貼られて迫害や虐殺を受け続け、頼った国に裏切られるなどの経験から、外国は基本的にどこも信用できないという考えとなっている。

そのため、やられる前に攻めるという政策が採られがちで、これまでイラクやシリアで核施設建設を察知して空爆したり、情報機関のモサドによる危険と判断した人物の暗殺といったテロも辞さない。

ただ、右傾化してこうしたやり方が多くなり、ハマスなどパレスチナ人武装組織との戦いの連鎖はずっと続くばかりか、若年層で兵役忌避や人材の流出などといった問題が発生していることも書かれていて、この地域の問題は想像以上に難しいことが分かる。

他にもイスラエルの歴代首相の軍における実績や、リクードのような右派が政権を握っている時の方が案外和平が進められるという逆説、シオニズム運動の流れやイスラエル建国の事情、全人口の四割を占めるアラブ系イスラエル人の問題など多くの事柄が書かれ、驚くことも多かった。

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