『古城の風景〈7〉桶狭間合戦の城』:雨読夜話

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古城の風景〈7〉桶狭間合戦の城
古城の風景〈7〉桶狭間合戦の城
宮城谷 昌光
新潮社 2010-09

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宮城谷昌光の『古城の風景』シリーズの第7作。
前作で予告していたように、今回からしばらくは主に尾張の城が扱われている。

まず、前半では知多半島近辺の古城を訪れている。
この地方は室町時代から戦国時代にかけて戸田氏、水野氏、佐治氏といった土豪が勢力争いを繰り広げた地方で、他にも久松氏の城もあったりする。
こうした土豪たちの上では有力守護大名の斯波氏や一色氏、そして幕府奉公衆の伊勢氏などと支配者が替わっていたことが書かれ、応仁の乱に乗じて勢力を伸ばしたのが家康の出身である松平氏や戸田氏だったという。

水野氏は母方の実家、戸田氏は竹千代時代における誘拐事件の実行者、久松氏は異母弟の家、さらに佐治氏は今度NHK大河ドラマの主役となるお江が秀忠と結婚する前の夫の家と、家康や松平=徳川家につながりのある家ばかりで、家康や父の松平広忠、母のお大の話が多く登場する。

こうした諸氏の系図や人物関係には不明な点も多く、例えば忠政、信元、忠重、勝成など比較的知られる人物を輩出し、徳川幕府の譜代大名として繁栄した水野氏についても、系図にいくつもの異説や謎があったりして、興味深いといえば興味深い。

そして後半に入ると、タイトルにある通り桶狭間の合戦にまつわる城砦、具体的には
  • 鳴海城 : 信長から今川義元に寝返ったが、(信長の謀略によって)義元に謀反を疑われ切腹させられた山口左馬助の居城
  • 大高城 : 今川軍に参加していた松平元康(のちの家康)が兵糧入れを成功して手柄をあげた城
  • 丸根砦 : 当時織田家きっての勇将だった佐久間大学盛重が元康率いる今川軍と交戦し、玉砕した砦
  • 善照寺砦: 佐久間信盛が守っており、出撃した信長が通ったと思われる砦
などが登場する。

この中では、信長は合戦前夜の時点では今川軍の動きを把握しておらず、結果的に奇襲ではなく真っ向から今川の大軍に攻め込んでいって勝利したのではないかと語っているのが面白い。
確かにこの形での勝利であれば、その後の信長がこうした戦法を繰り返さなかったことも理解できる。

本シリーズは現在も新潮社の文芸誌『波』で連載されている。
次に本書の続編が出るとしたら副題は『織田の城』あたりになると思うので、こちらも楽しみである。




本書のシリーズについて書いた記事著者の作品について書いた記事
  • 『古城の風景 1 菅沼の城・奥平の城』
  • 『風は山河より(一~五)』
  • 『古城の風景 2 松平の城』
  • 『新三河物語(上・中・下)』
  • 『古城の風景4 徳川の城・今川の城』
  • 『孟嘗君と戦国時代』
  • 『古城の風景5 北条の城』
  • 『古城の風景6 北条水軍の城』


  • [本書で著者が絶賛していた、快男児・水野藤十郎勝成について書かれた歴史小説]

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