『孔子 (新潮文庫)』:雨読夜話

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孔子 (新潮文庫)
孔子 (新潮文庫)井上 靖
新潮社 1995-11

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井上靖による最後の長編であり野間文芸賞受賞作でもある、孔子の事跡を対象とした歴史小説。
孔子の架空の弟子が主人公として登場し、孔子や弟子の子路、子貢、顔回らについての思い出を語っていく。

主人公が語る場面は孔子の死後数十年経った時期に、論語を編纂するために集まったと思われる孔子研究会の人々に対してで、講演やシンポジウムの模様を文章化したような感じで話が進んでいく。

主人公は春秋時代に楚と呉に挟まれた小国・蔡の庶民の出身で、祖国が滅亡するかしないかの時期に孔子教団に雑用係か何かで加わり、彼らとともに陳や楚への苦難の旅をする。
孔子が陳にしばらくとどまっていたのは明主と思しき楚の昭王に謁見を目論んでのことだったようだが、肝心の昭王が死んだために目的を達することができず、魯へ帰還することになる。

その過程で孔子と弟子たちのやり取りや、孔子の振る舞いや語った内容についてが徐々に語られていくが、随所で”天とは何か”とか”仁とは何か”のような小難しい話になり、テンポはあまり良くない。

実のところ1/3くらいで読むのをやめようかともちょっと考えたが、後ろの方で弟子たちの話が出てくるようなので分かりにくいところは斜め読みで読み進んでいったところ、孔子研究会の人々が主人公に質問するあたりからまた面白くなってきた。

架空の団体である孔子研究会やその下にあるそれぞれの部会のメンバーたちは主人公に対して質問したり自説を展開したりし、妙に現代的ないかがわしさが感じられるところを楽しむことができた。

また、論語における著者の独自の解釈もいくつもなされており、例えば孔子が楚の昭王に謁見しようとした真の目的や、弟子に対しての態度、論語で伝わっている孔子の言葉とされるものが本当に孔子が語ったことなのか?というあたりで、それなりに興味深かった。

全体の基調としては孔子を聖人として扱う傾向が強いように感じられ、あまり好みとは言えなかった。
一回読む分にはいいかもしれないが、私にとっては一回でいい。

孔子を扱った物語としては『次郎物語』の著者でもある下村湖人による『論語物語』というのもあるので、こちらも読んでみたい。



[著者が孔子について語った講演とインタビューが収められている作品]
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[『次郎物語』の著者による、こちらも孔子を扱った小説]
論語物語 (講談社学術文庫 493)
「論語物語 (講談社学術文庫 493)」
 著者:下村 湖人
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