『アホの壁』:雨読夜話

ここでは、「『アホの壁』」 に関する記事を紹介しています。
アホの壁 (新潮新書)
アホの壁 (新潮新書)筒井 康隆
新潮社 2010-02

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SF作家・筒井康隆による、人がなぜアホな言動を繰り返してしまうのかについて語ったエッセイ。

タイトルは当然、ベストセラーになった養老孟司著『バカの壁』をもじったもので、序章に執筆のいきさつが書かれている。
初めは出版社から『人間の器量』という本を書くように依頼があり、

そんなもの売れるわけがないのである。

と断った後にこのタイトルで書くようになったことがあけすけに書かれ、『狂気の沙汰も金次第』などのエッセイにもあったような筒井節が健在なことに安心しながら読んでいった。

本章の章立ては以下のようになっていて、それぞれのケースを自身の体験や歴史上の事件、テレビ番組など近年の風潮をからめて語っていく。
  1. 人はなぜアホなことを言うのか
  2. 人はなぜアホなことをするのか
  3. 人はなぜアホな喧嘩をするのか
  4. 人はなぜアホな計画を立てるか
  5. 人はなぜアホな戦争をするのか

意識しつつもその場で最も言ってはいけないことを言ってしまったり、その行為で自分自身を傷つけることが分かっているのにやってしまうことなどを取り上げ、著者が影響を受けたフロイトの理論に照らし合わせて語る部分が多い。

それによると、人間の深層心理では本当はやりたくないことをしようとするとわざと間違えるように仕向けたり、自分自身を傷つけたくなる欲求があるのだという。

フロイトは読んだことがないのでよく分からないが、著者が若い頃はフロイトの理論を人に当てはめる行為をやって嫌がられたことも告白しており、言われた人はたまらないだろうと納得してしまった。

そしてアホの壁を越えてしまう話を続けた後に終章では「アホの存在理由」として、アホへの愛着を語って落ちをつけるあたりは関西人らしいし、最後の数行で脱力させる短編をしばしば書いた著者らしいとも感じた。

フロイト云々は理解しづらいところもいくつかあったが、著者の攻撃的で毒のある語り口を楽しむことができて面白かった。



著者の作品について書いた記事
  • 『狂気の沙汰も金次第』
  • 『にぎやかな未来』
  • 『玄笑地帯』
  • 『日本以外全部沈没―パニック短篇集』
  • 『俗物図鑑』
  • 『わかもとの知恵』
  • 『七瀬ふたたび』


  • [著者の他の作品]

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