『きょうも上天気 SF短編傑作選』:雨読夜話

ここでは、「『きょうも上天気 SF短編傑作選』」 に関する記事を紹介しています。
きょうも上天気 SF短編傑作選 (角川文庫)
きょうも上天気  SF短編傑作選 (角川文庫)
フィリップ・K・ディック , カート・ヴォネガット・ジュニア , 他 (著),
大森 望 (編集), 浅倉 久志 (翻訳)

角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-11-25

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
スティーヴ・フィーヴァー ポストヒューマンSF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)
NOVA 3---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)
原色の想像力 (創元SF短編賞アンソロジー) (創元SF文庫)
エステルハージ博士の事件簿 (ストレンジフィクション)
ぼくの、マシン ゼロ年代日本SFベスト集成<S> (創元SF文庫)


数多くのSF小説を手がけたことで知られる故・浅倉久志が翻訳したSF短編を、大森望が編纂したSFアンソロジー。

シェクリイやディックなど有名作家の傑作と自信を持って言える作品ばかりが収録されていて、以下の9作である。
--------------------------------
  • 「オメラスから歩み去る人々」(アーシュラ・K.ル・グィン)

  • 「コーラルDの雲の彫刻師」(J.G.バラード)

  • 「ひる」(ロバート・シェクリイ)

  • 「きょうも上天気」(ジェローム・ビクスビイ)

  • 「ロト」(ウォード・ムーア)

  • 「時は金」(マック・レナルズ)

  • 「空飛ぶヴォルプラ」(ワイマン・グイン)

  • 「明日も明日もその明日も」(カート・ヴォネガット・ジュニア)

  • 「時間飛行士へのささやかな贈物」(フィリップ・K.ディック)
--------------------------------

どれも面白かったが、特に核戦争勃発後のアメリカでワゴン車で避難する一家を描いた「ロト」が好きな作品だった。
大渋滞の中で主人公のジモン氏とその妻と子供たちのやり取りが続くという一見地味な設定なのだが、ジモン氏の少々意地悪な独白とジモン夫人のとんちんかんな言動が続くのが妙に笑えて引き込まれる。
これは著者の語り口のうまさと、翻訳者の浅倉氏のうまさがきっちりかみ合っているからだろうと思っている。

他にもフレドリック・ブラウンとともに『SFカーニバル』を編纂したマック・レナルズによる時間SFの「時と金」や、以前読んだ平井和正の「赤ん暴君」を思い起こさせる子供が登場する表題作、新生物を開発してしまう話である「空飛ぶヴォルプラ」なども印象に残った。

また、「ひる」は昔の特撮番組『ウルトラQ』に出てきた怪獣のモデルになったなど、それぞれの短編のまえがきにちょっとしたトリビアが書かれていたり、編者による解説で浅倉氏の経歴やエピソードが紹介されているのも良かった。
改めて、浅倉氏の業績のすごさに感じ入った。

なんとなく読みやすそうだったので手に取った形だが、予想をはるかに超える面白さだった。
このレベルであれば、古い作品という点は全く気にならない。



関連記事
  • 『虚構機関―年刊日本SF傑作選』
  • 『NOVA 1---書き下ろし日本SFコレクション』
  • 『超弦領域-年刊日本SF傑作選』
  • 『NOVA 2---書き下ろし日本SFコレクション』
  • 『量子回廊-年刊日本SF傑作選』
  • 『SFカーニバル』
  • 『ゼロ年代SF傑作選』


  • [本書に短編が収録されている作家の作品]

    にほんブログ村 本ブログへ
    スポンサーサイト

    関連タグ : 大森望,

    この記事へのコメント
    コメントを投稿する
    URL:
    Comment:
    Pass:
    秘密: 管理者にだけ表示を許可する
     
    この記事のトラックバックURL
    この記事へのトラックバック