『本の雑誌風雲録』:雨読夜話

ここでは、「『本の雑誌風雲録』」 に関する記事を紹介しています。
本の雑誌風雲録[新装改訂版]
本の雑誌風雲録[新装改訂版]
目黒 考二
本の雑誌社 2008-10-23

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作家・椎名誠らとともに本の雑誌社を立ち上げ、社長・発行人として活躍してきた目黒考二が本の雑誌社のこれまでを語った作品。

本の雑誌については編集長をしていた椎名誠の『本の雑誌血風録』『新宿熱風どかどか団』でも描かれているが、本書では椎名が必ずしもタッチしていない部分をメインに扱っている。

当初から著者は 無理しない、頭を下げない、威張らない の三原則を持っていて、基本的だが感じのいいやり方だと思った。

また、贅沢な遊びとして始めたことだったこともあって出版流通の実務を知らなかったため、手探りで奮闘する様子が描かれている。

特に創刊から25年くらいは初めから日販やトーハンのような大手取次を通さない直販方式を採っていて、東京都内の書店へ配本を行う部分について多く語られている。

まずは書店に本の雑誌を置いてもらえるよう営業に出かけるところから、発行日に各書店に配本する大変さ、そして人手不足対策として助っ人学生による配本部隊の結成と話が進んでいく。

配本部隊で活躍した学生たちには米藤俊明、沢田康彦(後に本庄まなみの夫となる)、上原善二など、椎名誠率いるあやしい探検隊のドレイ隊員になった人々や、著者の後に本の雑誌社発行人となる浜本茂、他にも苅部庸二郎や福井昇、ダイナマイトコンビ(窪木淳子・吉田伸子)など個性豊かな人々が登場する。

その後組織が大きくなるにつれて経営者や管理者としてふるまわなければならないことへの戸惑いや、編集方針をめぐる椎名との大喧嘩、著者が本好きになった経緯、積読してても書店に行ったり本を大量に購入することのよろこびなども語られていく。

商圏の小さな郊外の書店で売れ行きは固定客の割合が高いので目安として重要という「首都圏ドーナツ配本論」や本の雑誌へのあこがれが強い学生の方が続かなかったりするなど、マーケティングや人事などにも生かせることも書かれている。

薄給で地味な仕事であるにも関わらず、応募して定着する学生が次々と現れるのは、著者の人徳で居心地のいい場を提供できていたためだろう。

本の雑誌を始める前は本を読む時間がないという理由で会社を3日で辞めることを繰り返していた著者がいつの間にか経営者として成長してきたこと、著者の本の雑誌への愛情などが強く感じられ、読み応えがあった。





本の雑誌

出版社:本の雑誌社
発行間隔:月刊






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