『梅棹忠夫 語る』:雨読夜話

ここでは、「『梅棹忠夫 語る』」 に関する記事を紹介しています。
梅棹忠夫 語る (日経プレミアシリーズ)
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小山 修三
日本経済新聞出版社 2010-09-16

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『文明の生態史観』『知的生産の技術』などで知られ、昨年亡くなった梅棹忠夫氏との対談を、梅棹氏の弟子に当たる人類学者がまとめている作品。

これまで梅棹氏がやってきたことや考え方が語られていて、驚いたり笑ったりする部分が多く興味深い。

実際に自身で見たり体験したことの重要さ、学会で権威を振りかざすことへの反発、情報産業論に対して情報ばかり取り上げられることへの不本意さなどが多く出てくる。

梅棹氏くらいのレベルになると大学者たちについても軽くけなしてしまうあたり、かなり痛快に感じる。
例えば和辻哲郎の『風土』はどうしたんだというくらいの駄作と言ったり、丸山真男はいいやつだけど話す内容はマルクスの亜流でつまらないと言ってみたりという具合である。

テレビが出だした頃はあまり評価されていなかった放送について、情報を作り出しているから誇りを持つよう放送人たちを励ました話、当初はよくテレビ出演していたものの途中から出演しなくなったのは忙しくて仕事にならないことや、テレビに出演していた子供がどんどん悪くなるのを見たからという。

学校から放校処分になったり、敗戦による引き上げ、肺病、失明と多くの挫折を乗り越えてきたことが書かれていて、それらを乗り越えてきた強さにも感嘆する。

他にも、以下のようなエピソードに触れられていて興味深い。
  • 論戦にはかなり強い人物で、負けを認めたのは少数民族にいたイスラム教の法学者だけだったらしいこと
  • エリート主義は江戸時代に威張っていた武士階級の末裔としていること
  • 国立民族学博物館の初代館長としての活躍のところでも、博士課程終了は運転免許だとか 足の裏に付いた飯粒と言うところ

フィールドワークで描いてきたスケッチのうまさや、著作における文章の分かりやすさについては、科学者(理学博士)ならではのものと述べている。
さすがに日本語もローマ字で表記すべきという意見にはうなずけないが、それ以外は面白い。



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