『家族場面』:雨読夜話

ここでは、「『家族場面』」 に関する記事を紹介しています。
家族場面 (新潮文庫)
家族場面 (新潮文庫)筒井 康隆
新潮社 1997-10

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断筆宣言解除から少しして書かれた、筒井康隆のSF短編集。

比較的若い頃に書かれた『俗物図鑑』『にぎやかな未来』『心狸学・社怪学』などに比べるとパワフルさは欠けるが、また違った面白さがある。

ストーリーを一気に進めるというよりは、読者を主人公とともに異常な状況に迷わせるような感じの作品が多い。

収録されているのは以下の7編。
  • 3ヶ月におよぶ異常な日照りに見舞われた東京で発生する現象をリアルに描いていく「九月の渇き」
  • 猿に芝居をさせている様子を、猿回しの台詞のみで描く「猿のことゆえご勘弁」
  • 被害者の家族が死刑を執行する様子を、右上と左上から様々な人々が眺めつつコメントする「天の一角」
  • 公務員だらけの世界で、書類の紛失から起こるドタバタ劇「大官公庁時代」
  • よく分からない世界で、卒業論文を書くために市場を旅する学生の冒険?を描く「十二市場オデッセイ」
  • ある日突然、これまで虐げられてきた妻の妄想?の世界に放り込まれた様が書かれている「妻の惑星」
  • 様々な場面の中で、主人公と家族が期待される役割を果たそうとする表題作

この中では、死刑に利害関係のある人のつぶやきや被害者遺族の取り乱しぶり、刑務所の看守たちの冷淡さなどが印象深い「天の一角」や、地味な事務ミスからトラブルが拡大していく「大官公庁時代」、いかにも後期の筒井作品という感じが強い「十二市場オデッセイ」などが面白かった。

また、「妻の惑星」では妻が姑である主人公の母に対して糾弾している内容、そして表題作での妻や息子とのやり取りが妙にリアルで、著者の実体験から書いているのでは?と思ってしまった。

4番目の「大官公庁時代」あたりで、以前読んだことがあると気づいてしまった。
時間を置いて読むと、以前とはまた少し違った感想になっていて面白い。


著者の作品について書いた記事
  • 『俗物図鑑』
  • 『アホの壁』
  • 『にぎやかな未来』
  • 『狂気の沙汰も金次第』
  • 『日本以外全部沈没―パニック短篇集』
  • 『玄笑地帯』
  • 『心狸学・社怪学』
  • 『わかもとの知恵』
  • 『七瀬ふたたび』
  • 『暗黒世界のオデッセイ』





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