『語っておきたい古代史―倭人・クマソ・天皇をめぐって』:雨読夜話

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語っておきたい古代史―倭人・クマソ・天皇をめぐって (新潮文庫)
語っておきたい古代史―倭人・クマソ・天皇をめぐって (新潮文庫)
森 浩一
新潮社 2001-05

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考古学者・森浩一による講演をまとめた作品。
冒頭で、講演を編集するというやり方は気合が足りないという意味のことを語っていて、学者としてのライブ感覚を大切にしているのだと感じた。

収録している講演は、以下の5話である。
  1. 「蘇る古代人の知恵と技術」
    :製鉄や建設、土器製作など、現在から見ても高い水準にあった古代日本の技術や交易範囲
  2. 「女王卑弥呼の時代」
    :『魏志倭人伝』の記述から見えてくる、古代日本の社会や国際関係
  3. 「クマソの考古学-中国文化とクマソ」
    :クマソや狗奴国が、高い文化を持ち江南と交易していたのではないかとする考察
  4. 「古墳研究と継体大王」
    :継体天皇即位から見る日本海側地域の発展や、磐井戦争から分かる九州の勢力について
  5. 「丸山古墳と陵墓問題-檜隈坂合陵から檜隈大陵へ」
    :丸山古墳などを例に挙げ、陵墓の指定問題であいまいな態度を取り続ける宮内庁に対しての苦言
刺激的な話が多く、特に第3話と第4話の内容が印象に残った。

第3話は弥生時代の土器で最も気品があって美しいと思うのは、熊本県南部の免田町で出土した免田式土器と語るところから始まる。
クマソの勢力圏とされるこのあたりの土地では、江南の呉から影響を受けたと思われる遺物が出土していることを指摘していて、これまで持っていたイメージとの違いに驚かされる。
クマソは『古事記』や『日本書紀』では反乱を起こす蛮族のように書かれているが、実際は呉と交流するなど高い文化を持った勢力だったのでは?と語っている。

実際に『古事記』でも大和朝廷はクマソに大苦戦し、テロや謀略でようやく勝利したことが書かれている。
青銅器などがあまり出ないのは鉄器のように残りにくい素材を使用していた可能性があるとも語っていて、きらびやかな製品が出るかどうかで文化程度を推定するのは間違いという考えには賛成する。

第4話では、継体天皇が日本海側を支配していた王で、大和の王族が失った国際感覚を求められての即位だったのではないかと書かれている。
出身地の福井では治水王とされていたり、水運にも強いなどの性格が見受けられる

また、『日本書紀』で磐井の乱と書かれる戦乱は、継体天皇の大和勢力と磐井の筑紫勢力との間でなされた磐井戦争とすべきと語っている。

日本の古代史について新たなイメージを持つことができ、興味深かった。







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この記事へのコメント
> 人生楽しみ さん

私も『倭人伝をよみなおす』を読んで、森浩一さんに関心を持つようになりました。
これからも何冊か、森さんの著作を読んでみようと思っています。
2011/04/13(水) 22:30 | URL | ufit #-[ 編集]
おはようございます。
森浩一さんは、ちくま新書「倭人伝をよみなおす」を読んでその真摯な姿勢に感動しました。お年を感じさせないパワーで、これからも頑張って頂きたいと思います。
嬉しい本を紹介してもらいありがとうございます。また、お邪魔します。
2011/04/13(水) 06:36 | URL | 人生楽しみ #-[ 編集]
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