福岡アジア美術館に「放浪の天才画家 山下清展」を観に行った:雨読夜話

ここでは、「福岡アジア美術館に「放浪の天才画家 山下清展」を観に行った」 に関する記事を紹介しています。
3日前、川端にある福岡アジア美術館に「放浪の天才画家 山下清展」を観に行った。
行った時間が夕方だったためか、地元のテレビ局と思われる取材がなされていた。

山下清といえばどうしても芦屋雁之助や塚知武雅が演じる『裸の大将』シリーズのイメージが思い浮かぶが、今回の展示では実際の清の実像に迫ることを目的としてなされている。

例えば『裸の大将』では旅先で絵を描くシーンがしばしば出てくるが、実際には旅に画材を持って行くことはなく、作品は全て旅の記憶を元に製作したものだったという。
解説にも書かれていた通り、清のイメージを持つ力と卓越した記憶力のすごさに驚く。

清の作品といえば貼り絵が有名だが、これ以外にもペン画や油絵、皿絵、陶磁器への絵付けなど、様々な種類の作品が展示されている。
例えば最後の作品となった「東海道五十三次」は貼り絵にする構想もあったらしいが、急逝のため素描の形で残っている。

技法についても解説されていて、質感を出すために古い切手や封筒も貼り絵に使用するなど、他の画家はまずやらないと思われる技法がいくつも用いられているのも興味深い。
貼り絵だけでなく、油絵ではチューブから絵の具を直接出して点描画のように製作したり、細かなタッチが表現しづらいフェルトペンでペン画を描くなど、まさに天才だと思う。

こうした清の作品は傷みがひどくなっていたものも多いということで、修復家・岩井悠久子氏による修復前と修復後の比較ができるのも興味深かった。

作品ももちろん面白かったが、清が書き残した多くの文章もそれに劣らず面白い。
今回は放浪した際の出来事を描いた放浪日記の一部や、通っていた八幡学園に提出した「放浪をやめる誓い」、それぞれの作品についてコメントした内容などが展示されている。

例えば岐阜の大仏を描いた作品では、

僕はお宮やお寺を拝んでもどうなるのかわからんので 拝まないことにしている

と書き、パリのムーラン・ルージュの絵では

どうしてこれをスケッチしたかと言うと 今までたくさんの絵描きがここを描いているので 僕も絵を描くのが仕事なので たくさんの絵描きの真似をした訳だ

という具合である。

清は「日本のゴッホ」と呼ばれることもあり、ゴッホの感想を聞かれた際は、

ゴッホは生きている間はちっとも絵が売れないので 売れないのは自分の絵がヘタクソだからと思ってがっかりして死んだので 死んでからみんながゴッホが偉いといっても 死んでいるゴッホには聞こえない

と述べている。

清の人柄が感じられて面白いので、出版されている清の日記を読んでみたくなった。

期待していた以上に興味深い展示で、行って良かった。
あまりに良かったので、今回の展示目録も購入した。



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