『游仙枕―中国昔話大集』:雨読夜話

ここでは、「『游仙枕―中国昔話大集』」 に関する記事を紹介しています。
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中国の伝奇小説を、様々な原典から集めたアンソロジー。
メールマガジンのまぐまぐで配信されていたものが、人気が高かったために単行本化されたという。

先日読んだ『聊斎志異』や『唐宋伝奇集』と近い感じの作品が多く、魂・情・怪・異・奇・幻という分け方で構成されている。

まず印象深いのは、中編の「花魁と油売り」である。
これは戦乱で家族と離れ離れになった娘は人気の芸者に、青年は油売りになって様々な波乱があるというもので、ぜひハッピーエンドになって欲しいと思いながら読んでいった。

そして、荘子が妻の死に際して茶碗をたたいて歌っていたというエピソードを元に書かれた「荘子と妻」も面白かった。
これは荘子と若い妻が、死んだ後のことをどう考えるかで少し口論となり、妻が不思議な体験をするという話で、荘子の悪ふざけには少々複雑な気持ちになる。

他にも、
  • 強欲な金持ちが、金の力で寿命を延ばそうとする「太山の沙汰も・・・」
  • 亡くなった妻が、他の家の娘として生まれ変わる「劉立の妻」
  • 道教に凝っていた妻が、死んだ後も蘇って夫とともに暮らす「妄執」
  • 唐初の名将・李靖が不思議な体験をする「本当の人間」
  • 中国版浦島太郎とも言える「一局百年」
などの話が収録され、中国ならではの話と思えるものが多い。

また、先日読んだ『唐宋伝奇集』に収録されている話もいくつかあり、翻訳の違いを楽しむこともできる。
「蜜柑」、「怪盗我来也」、「紅玉」、「相思樹」、「崑崙奴」などがそれに当たる。
例えば「崑崙奴」(こんろんど)は、本書では崑崙奴が黒人で話し言葉も(映画やアニメでしばしば使用される)片言としていて、こちらの方がより感じが伝わる。

本書で出てくる話では北宋末や元末に起こった戦乱がしばしば出てきて、『史記』や『十八史略』のような支配階級の歴史書には出てこない庶民の苦しみなども伝わってくる。

メールマガジンで人気になったのも納得できる面白さで、楽しむことができた。
続編も出ているので、これらも読んでみたいところである。








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