『異説 徳川家康』:雨読夜話

ここでは、「『異説 徳川家康』」 に関する記事を紹介しています。

 異説 徳川家康 異説 徳川家康
400 円

榛葉英治(著者)

日本経済新聞社
1991/11/20


明治時代に書かれた、家康が松平元康とは別人だったという『史疑 徳川家康』を元にした歴史小説。
著者は直木賞作家で、かつ『史疑 徳川家康』の著者である村岡素一郎の外孫に当たる。

ストーリーは、新田義貞の子孫を称する修験者兼忍者の江田松本坊が、駿府の被差別部落でお大という娘を助けるシーンから始まる。
2人の間に生まれた国松という少年は、世良田二郎三郎元信、さらには徳川家康と名を改めることとなる。
※ややこしくなるので、以降は家康と呼ぶ

当時仏教徒たちに抑えつけられてきた神道派の人々から救世主として期待される家康は、常賢(酒井忠次)、宗哲(板倉勝重)、小平太(榊原康政)など、後に譜代大名となる仲間たちを集めて旗揚げをすることになる。

このあたりの過程は「駿府梁山泊」という章になっているが、「戦国版ONE PIECE」と見立てると家康がルフィに見えて面白い。
はじめのうちはどう見ても山賊だが、のし上がって最終的に天下を取ったことからすると、海賊王ならぬ山賊王というところか。

そして親今川派と親織田派が対立する三河の松平家に目をつけ、今川家の人質となっていた松平竹千代(後の信康)を誘拐し、これを利用してのし上がっていく。

家来たちを統率するカリスマ性や知謀、あくまで周囲に推されたから行動するというポーズを取るところなど、若い家康のキャラクターが出ていて面白い。

ところどころで『史疑 徳川家康』から引用した記録も書かれていて、正史では松平氏の先祖とされる松平親氏や祖父とされる松平清康が行ったとされる合戦が、実際は家康自身の合戦だったのではないかとしているなど、一般に知られているのとは異なる歴史への関心がわく。

この話を扱った作品としては八切止夫の『徳川家康は二人だった』も読んでいるが、脱線が少ない分だけ本書の方が歴史小説として完成度が高い。

絶版となっているが、売り方によってはそれなりに売れるのではないかと思う。




[著者が現代語訳した、本書の元となった歴史論考]

 史疑徳川家康 史疑徳川家康
2520 円
〔村岡素一郎/原著〕 榛葉英治/〔訳〕著

雄山閣
2008年07月






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