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『新訳 フランス革命の省察―「保守主義の父」かく語りき』:雨読夜話

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新訳 フランス革命の省察―「保守主義の父」かく語りき
新訳 フランス革命の省察―「保守主義の父」かく語りき
エドマンド バーク (著), 佐藤 健志 (翻訳)
PHP研究所 2011-03

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フランス革命が起こって1年後くらいに書かれた、イギリスの哲学者がフランス革命を批判的に論じた作品。

以前読んだ『奇跡の日本史』『歴史の読み方』では、フランス革命が急進的・普遍的な思想の悲劇としていたり、革命というよりは宗教戦争に近いといった厳しい捉え方をされていたのに関心を持ち、まさにそうしたテーマを扱っている本書を読んでみた。

元はフランスに住む知人に宛てた手紙だったものを書籍にしたもので、重複する部分、現在では伝わらない部分も多いそうで、抄訳および編集して読みやすい形にしたという。

プロローグで本書の位置づけとして訳者による解説が書かれていて、かなり助かる。
出版された当時は事実誤認が多いなど不評だったらしいが、その後本書で危惧していたこと(ロベスピエールの恐怖政治やナポレオンの台頭など)が的中し、保守思想の古典のような扱いに変わっていったらしい。

本書が書かれた当時の状況としては、国王ルイ16世はベルサイユ宮殿から革命派によって連れ去られてパリに幽閉され、まだギロチンで処刑されてはいない。

そしてイギリスでもフランス革命に倣おうという言説があり、これに危惧したことも書く動機のひとつとなっている。

著者は最大の問題として、改革は抜本的かつ急進的に行うことが望ましいという急進主義にあるとしている。
これが過去の遺産を否定し、でたらめな政策を繰り広げて国益を損なうとし、人権、選挙制度、地方自治、財政、軍事などといった具体例を挙げて批判している。

王政時代も問題はあったにせよ王政を維持したままで改善できる場合が多かったにもかかわらず、国民議会を支配する革命派は、自分らの都合によって制度を大幅に変えたために混乱が続いていることが書かれている。

日本でもそうだが、足の引っ張り合いはあまりいい効果を出さず、残酷な結果を招きやすいことが分かってくる。

帯には”この迷走、この混乱!今の日本とどこが違う?”とあり、現在の民主党政権がまさにこんなパターンに陥っている。
例えば”政治主導”や”コンクリートから人”、”事業仕分け”、”最低でも県外”などがそれに当たるように思う。

政策は長期的に見ると成否が分かるのに時間がかかること、人間の理性には限界があるので経験や慣習、コンセンサスなどを重視して政策を立てていくべきだというロジックは納得しやすい。

日本では革命が起こらなかったことについて批判的な言説をしばしば目にするが、このような形の革命なら起こらなくて良かったと思えてくる。

かなりこなれた形の現代語で翻訳及び編集がなされていて、読みやすい。
他にもこうした形での古典の新訳版を読んでみたい。

フランス革命から現代に至るまで、革命や革新という思想が行き過ぎた場合の弊害を描いていてかなり興味深かった。




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