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『クルマ社会・7つの大罪-アメリカ文明衰退の真相』:雨読夜話

ここでは、「『クルマ社会・7つの大罪-アメリカ文明衰退の真相』」 に関する記事を紹介しています。
クルマ社会・7つの大罪
クルマ社会・7つの大罪
増田 悦佐
PHP研究所 2010-08-26

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陸上交通において自家用車に依存する度合いが極めて高い社会、これをクルマ社会として、それがいかに社会にダメージを与えるかということをアメリカを対象に論じている作品。

アメリカ社会を主なテーマとしているが、日本はクルマ社会の悪影響を抑えて鉄道文明を発達させた社会ということも書いていて、著者が日本社会を鉄道文明として描いた『日本文明 世界最強の秘密』と対になるような構成となっている。

タイトルにあるように7つの大罪ということで、本文が下記の章立てとなっている。
  1. エネルギー・スペースの浪費
  2. 行きずり共同体の崩壊
  3. 家族の孤族化
  4. 大衆社会の階級社会化
  5. 味覚の鈍化
  6. 自動車産業の衰退
  7. 統制経済への大衆動員

上記のそれぞれについて具体的な例を挙げ、アメリカでは高額な報酬を得る一部のエリートが支配する国となり、産業も突出した企業(自動車ではGM)中心という形での寡占化が進んだ結果として経営陣がいかに儲け利益を得るばかりを意識した経営を行って産業自体が衰退する過程などが描かれている。

また、以下のような論点が書かれているのも興味深い
  • 自家用車と業務用の自動車(トラックやバス、タクシーなど)の比率について、アメリカでは自動車の比率が極端に高く、都市での渋滞のためにトラックが少ない。結果、都市での物流に問題が多いことも郊外型のショッピングモールばかりが増える一因となっている。
  • 第二次世界大戦時のアメリカ大統領であるフランクリン・デラノ・ルーズベルト(FDR)が実際よりも過大評価されているとし、独裁者としての暗黒面があまり論じられていない
  • トヨタは、工場の拡大に規制があった大都市ではなく比較的田舎に本拠の工場があったという運のよさにも助けられて大きくなった
  • 企業では天才同盟型と凡人連合型の企業がある。元々本田宗一郎と藤沢武夫の天才同盟型だったホンダが努力して凡人集団型になって成功し、ソニーは天才同盟型を続けた結果として現在の衰退に至っている

アメリカがクルマ社会となった結果として階級社会が進んだのか、階級社会への志向が強いからクルマ社会となったのか、おそらく両方なのだろう。

どうしても日本では欧米をうらやむような論調が多くなりがちだが、まねるべきでないことも多いことを再認識することができる。




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