fc2ブログ

『青い星まで飛んでいけ』:雨読夜話

ここでは、「『青い星まで飛んでいけ』」 に関する記事を紹介しています。
青い星まで飛んでいけ (ハヤカワ文庫JA)
青い星まで飛んでいけ (ハヤカワ文庫JA)
小川一水 (著), 撫荒武吉 (イラスト)
早川書房 2011-03-10

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
天冥の標4 機械じかけの子息たち (ハヤカワ文庫JA)
妙なる技の乙女たち (ポプラ文庫)
群青神殿 (朝日ノベルズ)
風の邦、星の渚 上―レーズスフェント興亡記 (ハルキ文庫 お 6-6)
風の邦、星の渚 下―レーズスフェント興亡記 (ハルキ文庫 お 6-7)


小川一水によるSF短編集。
今回は未知との遭遇に類したテーマの作品が多く、以下の6作が収録されている。
  • 氷を採掘するために都市化した小惑星で生まれた少女が、緩衝林を管理する少年とともに脱出を企てる「都市彗星のサエ」

  • ちょっと怪しげなコケ類が流行る現象を描いた「グラスハートが割れないように」

  • 宇宙空間でも生活できるほどにサイボーグ化が一般的になった世界における、内向的なエイリアンとのファースト・コンタクトものである「静寂に満ちていく潮」

  • 天職を見抜く異能を持った主人公が事件に巻き込まれる「占職術師の希望」

  • 人類のほとんどがデジタル化・ヴァーチャル化された世界で、ある少女の指示で謎の敵の大軍と戦うことから話が展開していく「守るべき肌」

  • 人類から”未知の探求”という使命を与えられた自意識のある宇宙船が宇宙のあちこちでさまざまな体験をする表題作

「グラスハートが割れないように」は『虚構機関―年刊日本SF傑作選』に、表題作は『超弦領域-年刊日本SF傑作選』にそれぞれ収録されていたものを読んでいたが、間が開いていたので改めてその面白さを味わうことができた。

「都市彗星のサエ」は先日読んだ『ホリエモンの宇宙論』に書かれていた、地球近傍小惑星で資源採掘や居住に使用するという構想が舞台として出てくるのが面白かった。

また、「静寂に満ちていく潮」と「守るべき肌」では、どちらも人類が元々持っていた生身とは異なる体に移行した後の社会を舞台としている。
さまざまな可能性が広がることへの期待がある反面、どうしても移行すること自体への抵抗も少し感じる。
以前読んだ著者の『フリーランチの時代』にも設定が似ていて、特に「静寂となる潮」でのエイリアンとの交流がよかった。

「占職術師の希望」では、他人に見えないものが見える主人公が出てくる点で、梶尾真治の『精霊探偵』に似ている。
人によっては6つくらい天職があったり1つしかなかったりとまちまちだが、そうした制約を設定することで完成度の高い作品に仕上がっていると思う。
ホーガンの『断絶への航海』のように、1人にもう少しさまざまな天職の可能性があってもいいんじゃないかとは思うが。

あと、TRONなどで知られる情報工学者の坂村健氏が解説で、著者の作風はA.C.クラークに近いということを書いていて、これまであまり意識していなかったので少し驚いた。
言われて見れば確かにそうした部分がある。

著者の作品が安定して面白いことを、改めて感じることができた。




断絶への航海 (ハヤカワ文庫SF)断絶への航海 (ハヤカワ文庫SF)

ジェイムズ・P. ホーガン (著), 小隅 黎 (翻訳)
早川書房 2005-02

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

にほんブログ村 本ブログへ
スポンサーサイト




関連タグ : 小川一水,

この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック