『聖徳太子はいなかった―古代日本史の謎を解く』:雨読夜話

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完本 聖徳太子はいなかった (河出文庫)
完本 聖徳太子はいなかった (河出文庫)
石渡信一郎
河出書房新社 2009-09-04

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タイトルにある聖徳太子架空人物説など、日本古代史について通説とは大きく異なる説を語っている歴史読み物。
ほぼ同じタイトルの谷沢永一著『聖徳太子はいなかった』は読むに値しないひどい作品だったが、本書はまともな内容だった。

論考には、
  • 古墳や出土物の年代は定説よりも新しい
  • 古代は朝鮮半島から日本列島の移住者が多く、支配者層も加羅や百済の王族が多かった
  • 古事記や日本書紀の設定により、架空の人物や消された人物が多い
といったところを基本としている。

そこから、7世紀頃は応神天皇系と継体天皇系の2派が壮絶な皇位継承争いを繰り広げたという歴史が描かれていく。
日本書紀では前者が蘇我氏、後者が息長氏や物部氏という形で書かれているとしていて、かなり刺激的な印象を受ける。

そして蘇我馬子や聖徳太子、天武天皇といった人々の実像はどのような人物だったのか?という謎に迫っていく。

全体的にはかなり細かに材料を用意していて、興味深く読んでいくことができる。
ただし、一度提起した仮説を前提として次々とその上に仮説を積み重ねていくという形なので、積み重ねたトランプのような危うさがある。

また、面白いのは面白いが、古代の天皇たちへの敬意があまり感じられない書き方もあり、心情的にしっくりこないところもある。
どちらかと言えば八木荘司の『古代天皇はなぜ殺されたのか』のような歴史観の方がなじみやすい。

まあ一つの古代史の仮説ということで、興味深かったと思う。



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