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『逆説の日本史〈9〉戦国野望編―鉄砲伝来と倭寇の謎』:雨読夜話

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逆説の日本史〈9〉戦国野望編―鉄砲伝来と倭寇の謎 (週刊ポストBOOKS)
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井沢 元彦
小学館 2001-11

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井沢元彦の逆説の日本史シリーズの戦国編。
前半が琉球王国と倭寇、そして鉄砲伝来の話で、後半が戦国大名の話となっている。

前半では琉球王国の交易国家としての繁栄を描いているが、その背景には明帝国の海禁政策と冊封体制により中国商人の活動がなかったことが挙げられる。これは明が衰えるにつれ中国人によるニセ倭寇が盛んになる温床ともなった。
中国人(この時代は明人)の方が倭寇の主力であったにも関わらず、倭寇と呼ばれるのは問題だと述べている。その後の日本への悪印象はこれに由来しており、名称の変更が必要だと主張しているが、これについてはある意味中国や韓国に対する脅しというか軍事的にはいつでもこのようなことができるというプレッシャーをかける意味からも変更しなくてもいいのではないかとも思う。
それでなくても中国にはなめられてきているわけだから。

鉄砲伝来については、通説ではポルトガル船が難破して種子島に漂着して偶然に鉄砲が伝来したかのように伝えられているが、実際には倭寇の頭目であった王直(五峯)が仲介して計画的に売り込まれたものらしい。
ポルトガル商人としては日本で鉄砲は量産できないだろうからいくらでも売れると見込んでいたらしいが、実際には1年くらいで量産してしまい結果世界屈指の陸軍国になってしまったのは、大失敗だったようだ。
ただし煙硝ばかりは日本で産出しないため、このビジネスのみとしてはあながち失敗でもなかったようだ。結果、種子島→薩摩→堺・根来という鉄砲の流通ルートが形成された。

後半では戦国大名として北条早雲、朝倉孝景、毛利元就、武田信玄、織田信長といった面々について分析し、信長と他の大名の違いに行き着く。
信長以外の大名は、信玄を始めとして、
  • 当時実力のあった寺社勢力と妥協をして改革が不徹底となること
  • トップが独裁権を持たず実力主義が完全になされなかったこと
  • 兵農分離が経済上の制約からできず遠征など長期戦があまり行えなかったこと
  • 何より上洛して将軍を蹴落とし天下統一を行うビジョンがなかったこと
などの点で問題があり、それができた信長がのし上がれたわけである。

後半はそれなりというか比較的多くの著作がある部分なのでそこまで驚きのようなものはなかったが、前半の倭寇や琉球王国の部分、鉄砲の火薬の原料となる煙硝からの記載などはよく知らないところだったのでこのあたりが新鮮である。

あと、北条早雲の治世の良さを挙げて、それに対して名指しはしていないものの、経済通で平成の高橋是清とおだてられていい気になっている割に景気を良くできない当時の財務大臣の宮澤喜一を”善政とは何かを分かっていない”とばっさり。
なかなか痛快だった。




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