『環境から解く古代中国』:雨読夜話

ここでは、「『環境から解く古代中国』」 に関する記事を紹介しています。
環境から解く古代中国 (あじあブックス)
環境から解く古代中国 (あじあブックス)
原 宗子
大修館書店 2009-06

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環境史の視点から、古代中国の歴史を語っている作品。
下記のようなエピソードが収録されている。
  • 殷の末期になされたとされる「酒池肉林」が非難された背景に、寒冷化で穀物を酒にあまり使用するわけにはいかなくなったことがあるのではないか
  • 『韓非子』に収録され、歌の「まちぼうけ」のモデルにもなった「株を守る」という話に出てくるウサギや切り株は、華北が森林を伐採して耕地にしつつあったから生まれたのではないか
  • 前漢の文人であった司馬相如と結ばれた美女(?)の卓文君の先祖は、四川でイモが自生している僻地へ移り住み、製鉄で成功した
  • 『三国志』で有名な曹操は当初、川は船で渡るというイメージしかなかったため、黄河の氷結に悩まされた。
  • オアシスのありがたみを熟知している遊牧民出身の王朝の方が、植樹事業に熱心に取り組んでいた

印象に残るのは、古代の華北では温暖な時期、湿潤な時期もあって森林があったこと、そして畑作の結果としての塩害にしばしば悩まされていたことである。
水田は地下水が地表に上がらない構造だが、畑では地下水とともに塩分が地表に上がることで塩害が発生し、灌漑すれば一時的には塩分が流れるものの、塩分が再度戻った場合は再生アルカリ化して水に溶けなくなるという形で悪化するらしい。
砂漠化対策で障害になっているのもこうしたメカニズムらしく、単純に地中に水を保持すれば済むものではないということがよく分かった。

現在の華北での砂漠化は、一因として明代にシルクロード交易が途絶えて海上貿易が盛んになったことで、華北から養蚕用の桑畑がなくなり、養分が足りなくなったことがあると書かれているのにも、少し驚いた。
基本的には共産党政権の政策の問題ばかりでなく、歴史的に難しい部分が多かったようだ。

文章が少し読みづらい気もするが、興味深い一冊だったと思う。
あじあブックスの作品は他にも面白そうな本があるので、読んでみようと思う。



[あじあブックスから出ている作品]

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