『史疑―幻の家康論』:雨読夜話

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史疑―幻の家康論礫川 全次
批評社 2007-08

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明治時代に家康の入れ替わり説について書かれた『史疑 徳川家康事蹟』に流れる貴賎交代思想や、出版後すぐに事実上葬られた事情などについて考察している本。

この『史疑 徳川家康事蹟』というのは明治時代に村岡素一郎という人物の著作で、彼の外孫である直木賞作家・榛葉英治の『異説 徳川家康』や八切止夫の『徳川家康は二人だった』の元となっている。

この作品は徳富蘇峰の出版社から出たものの、何らかの圧力がかかったらしく出版後すぐに店頭からなくなってしまったらしい。
その指示をしたのは徳川家関係者・・・ではなく、伊藤博文や山県有朋といった当時の権力者の意向が強く働いているためではないかと書かれている。

下級武士の出身とされることが多いが、実は伊藤も山県もそれより下、厳密には武士とも言えない身分だったこと、そして彼らが維新後に華族となっただけでなく、爵位制度を作って自らに与えるというお手盛り政策を実施したことなどについては批判が多かったという。

また、村岡は卑しめられていた武士が政権を握るなどの貴賎交代思想を持っていたとのことで、その観点から伊藤や山県を非難する意図でこの書物が書かれているのではないかとの考察がなされている。
正直真偽のほどはよく分からないが、明治における政治の一側面を知ることができて興味深い。

徳川家康入れ替わり説を知る本の1冊目にはあまり向かないと思うが、興味を持って2冊目以降に読む本としてはまずまず面白いと思う。



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