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『経済論争の核心はここだ―アダム・スミスに学べ』:雨読夜話

ここでは、「『経済論争の核心はここだ―アダム・スミスに学べ』」 に関する記事を紹介しています。
経済論争の核心はここだ―アダム・スミスに学べ
経済論争の核心はここだ―アダム・スミスに学べ
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「神の見えざる手」という言葉で有名な、自由競争と独占の排除を主張したアダム・スミスの論説が正しく、国家による需要の創出という手法を主張したケインズの方法はエリート主義で経済を衰退させると語っている作品。

経済の統制がさほどなされず、また企業による独占のやり方が比較的分かりやすかった20世紀はじめまでは、インフレとデフレの循環がゆるやかで、大衆が受ける不況のダメージもそれほどひどくなかったらしい。
それが、アメリカでFDR(連邦準備制度)ができてからは、1930年前後の大不況に代表されるように、不況が国民生活全体に大きくダメージを与えるようになったという。

これは、当面の不況を何とかするために打った経済政策で副作用の方が大きくなったり、企業の独占が甘くなったことでGMをはじめとするガリバー企業が思い切った生産削減をやったことで実体経済が大きくダメージを受けること、独占企業は企業努力を怠って腐敗していくこと、格差が拡大するなどの要因があることが書かれている。
そして、こうした統制型の経済政策が、欧米においてついに崩壊しつつあるという見立てとなっている。

一方、日本でも旧通産省などの官庁が企業の統合を推し進めようとしたが、それぞれの企業やその後ろにいる消費者としての大衆がそれを許さなかったために市場が機能しているとしている。
また、1935年に第13代日銀総裁に就任した深井英五の回顧録にも書かれているように、日銀が変な金融政策を実施せずに市場の動きに任せることが多いことを評価している。

これまでケインズ政策は、途上国が最初に使ったり非常事態に際して実施すれば効果があると考えていたが、どうやら一度実施しだしたらなかなかやめられないものらしい。

他にも、ケインズが戦後の会議でみっともない行動をしてしまったことや、池田勇人内閣でブレーンとして所得倍増計画の策定に関わった下村治が『日本経済成長論』で驚くほど的確な経済分析をしていることなどが書かれているのが興味深かった。

独占が野放しにした常態での自由競争がいかに問題があるか、グローバル経済だから国内では独占でもいいという論がいかに間違っているかなどの部分が分かり、けっこう驚いた。
また、アダム・スミスの『国富論』や下村治の『日本経済成長論』も読んでみたくなった。



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