『傾いた世界―自選ドタバタ傑作集〈2〉』:雨読夜話

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傾いた世界―自選ドタバタ傑作集〈2〉 (新潮文庫)
傾いた世界―自選ドタバタ傑作集〈2〉 (新潮文庫)
筒井 康隆
新潮社 2002-10

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筒井康隆による、ドタバタをメインに置いた作品を集めたアンソロジーの第2作で、7作が収められている。
以前の短編集からこうした形に変えているのは、当時出た順に収録していたことを改めたかったのか、現在では自粛したい作品が多くなったためなのかよく知らない。

表題作は東京湾上に建設された人工都市において、基部の重しがずれたことによって徐々に傾いていく際の騒動を描いたもので、傾いた地面に垂直に立とうとするとかなり苦しい思いをする部分については、先日行った高尾山トリックアート美術館内にあった超重力の部屋(だったと思う)で似た体験をしたのでリアルに想像できた。
単に都市が傾くだけでなく、女権運動家上がりの市長が傾いている現実から目をそらそうとしてさまざまなあがきをして騒動を拡大させているのも印象に残る部分であり、当時苦々しく思っていたと思われる女権運動家やプロ市民による無茶な言論に対しての皮肉が利いてるのもいい。

また、江戸時代に空を飛ぼうとした職人を描いた「空飛ぶ表具屋」でも、平賀源内や杉田玄白、太田蜀山人といった江戸時代後期の文化人たちを登場させ、主人公に飛行器具づくりをけしかける言動をさせているあたりでも、反体制を気取りつつも体制側の人ともつながろうとする部分において文化人のいかがわしさを描いていたりする。

他にも脱獄囚に家族が人質とされて自宅に立てこもられた被害者が取った行動を描く「毟りあい」、異星人とのファースト・コンタクトで主人公がひどい目にあう「関節話法」「最悪の接触」など、とんでもない状況で登場人物たちが混乱する話が書かれていて、野次馬的に楽しむことができる。

以前他の作品で読んだ短編も再読することとなったが、改めてあくが強いが面白いと思った。




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