『2012年 大恐慌に沈む世界 甦る日本』:雨読夜話

ここでは、「『2012年 大恐慌に沈む世界 甦る日本』」 に関する記事を紹介しています。
2012年 大恐慌に沈む世界 甦る日本
2012年 大恐慌に沈む世界 甦る日本
三橋貴明
徳間書店 2011-10-21

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
経済と国家がわかる 国民の教養
大恐慌情報の虚(ウソ)と実(マコト)
売国奴に告ぐ! いま日本に迫る危機の正体
[図解]三橋貴明の「日本経済」の真実がよくわかる本
日本の大復活はここから始まる!


昨年出た、三橋貴明による2012年に世界経済の変化を予想し、日本が取るべき政策を提言している作品。

アメリカ発の金融バブルが崩壊後、日本だけでなくアメリカや欧州の多くの国でデフレが定着しつつあるが、デフレへの対策は増税ではなく、政府が赤字国債を発行して冷え込んだ需要を補うことだと繰り返し強調している。(あくまで需要創出のためで、子ども手当てのような所得移転では効果がない)

これは過去の事例も引用していて、逆にバブル崩壊後に増税を実施してひどい目にあった例として、アメリカのフーバー政権や日本の橋本政権を挙げており、これに現在の野田政権も入りそうなのがつらいところである。
ただし、増税分が自民党の意向により、社会保障よりも国土強靭化とされる公共事業に回されそうなところは、需要を補う政策となる可能性はある。

次に印象に残った部分として、統一通貨ユーロや多文化主義のマイナス面が露呈されている欧州の情勢がある。
まずユーロについては、財政政策は各国が実施する一方で金融政策はヨーロッパ中央銀行(ECB)が管理している点を挙げ、ギリシャやアイルランドがバブル崩壊後も通貨が下がらないために復興の見通しが立たないことが書かれている。アイルランドはユーロを離脱する可能性があるが、ギリシアはこれまで(ローマ帝国、オスマン帝国、イギリス、アメリカなど)のようにしがみつき続けそうだと書かれていたのには笑ってしまった。
また、移民を受け入れて自国の文化を受け入れてもらうことはともかく、移民元の国の文化や言語を尊重しすぎる多文化主義については、イギリスやスウェーデンのように社会不安を増大させている事例を挙げており、外国人への地方参政権のような政策がいかに問題が多いかが分かる。

あと、大手格付け会社による国債の格付けが、金融バブルの拡大や崩壊でいかに世界中を混乱させたか、そして格下げした日本やアメリカの国債の長期金利が逆に下がるなど、いかに格付けの基準がいい加減なものなのかが書かれているのが印象に残る。
別に各国政府が格付けを依頼しているわけでも、資金が出ているわけでもないのに格付けをし、しかもその結果に責任を負わない格付け会社の存在意義がよく分からなくなってくる。
ただ、これまでそれで事業が成り立ってきたのは資金を出してきた人がいるためであり、どのような仕組みなのかを少し知りたいと思った。

基調は他の作品と同様だが、本書で初めて知った部分、分かった部分も多く、興味深く読むことができたと思う。



トリプルA  小説 格付会社 上 (幻冬舎文庫)トリプルA 小説 格付会社 上 (幻冬舎文庫)

黒木 亮
幻冬舎 2012-08-02

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

トリプルA  小説 格付会社 下 (幻冬舎文庫)トリプルA 小説 格付会社 下 (幻冬舎文庫)

黒木 亮
幻冬舎 2012-08-05

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

にほんブログ村 本ブログへ
スポンサーサイト

関連タグ : 三橋貴明,

この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック