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『現代語訳 福翁自伝』:雨読夜話

ここでは、「『現代語訳 福翁自伝』」 に関する記事を紹介しています。

福澤 諭吉 (著), 齋藤 孝 (翻訳)
筑摩書房 (2011/7/5)


一万円札に写真が使われていることで有名な福沢諭吉による自伝を、現代語で抄訳している作品。

慶應義塾大学の創始者という肩書きや『学問のすすめ』などの著作からは堅苦しいイメージを持ってしまいがちだが、そうでない面もそれなりに持っていることが分かる。

例えば酒が大好きで禁酒をしようとしたが失敗したり、緒方洪庵の適塾時代に学友たちと騒いだりした話、アメリカやヨーロッパへ幕府の使節団員として参加した際のエピソードなどが書かれていて面白い。

父親が厳格な儒学者だったこともあってか借金が嫌いでやったことがなかったり喧嘩もほとんどしないなどの話もあり、このあたりが常人と異なるところだと思った。

元々中津藩の下級藩士だったことで、中津藩の家老に嫌がらせを受けるなどの話が出てきて、「門閥は親の敵」や「天は人の上に人を作らず・・・」という言葉が出ているのがよく分かる。

また、幕末から明治維新という時代ということで、これまで蘭学を学んでいたのに英語を新たに学ぶ際の苦労や、攘夷派から暗殺される危険におびえていたこと、慶應義塾で初めて学生から授業料を徴収するようにした話などが出てくる。

明治政府に仕えなかった理由は幕府の役人をやっていたためと思っていたが、本書を読むと当初明治政府は攘夷政府と思っていたためでもあると知り、少し驚いた。

「だ、である」と「です、ます」の書き方が混在していて、元からそうなのか訳文でそうしたのかはよく分からないが、ちょっと画家・山下清の文章と通じるものがあったようにも感じておかしかった。

訳者が「はじめに」で、あまり読まれていないが面白い作品と書いているが、思っていた以上に読みやすくて面白かった。




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