『天皇の暗号-明治維新140年の玉手箱』:雨読夜話

ここでは、「『天皇の暗号-明治維新140年の玉手箱』」 に関する記事を紹介しています。
天皇の暗号
天皇の暗号大野芳
学習研究社 2011-06-15

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戦後の熊沢天皇事件、戦前の天皇機関説や南北朝正統論をめぐる政界や軍部を巻き込んだ一大騒動、幕末における孝明天皇の崩御や明治天皇の即位にまつわる疑惑などを扱っているノンフィクション。

以前読んだ『幕末 維新の暗号-群像写真はなぜ撮られ、そして抹殺されたのか』で書かれている話も大きく扱われている。

前半では戦前における天皇関連での問題の数々が書かれていて、民主党政権時代もひどかったと思うが、幕末や戦前はそれ以上に混乱が続いていたことが推察される。

後半では幕末から明治初期にかけての政治情勢についての話が多く、浪士たちの暴走、岩倉具視の策謀、三条実美ら過激派公家の偽綸旨乱発など、バトルロワイアルの様相を呈していて、今まで思っていた以上に物騒な政治情勢だったことが分かる。
このような状態だからこそ、新撰組が必要とされたのも納得できる。

老中の小笠原長行が大軍で京を制圧して尊王派の浪士や公家たちを一掃する寸前までいったことや、これもまた老中の安藤信正が孝明天皇を退位させるための前例を調べさせていたことなど、思っていた以上に多くのIFがあったことに驚く。

そうした中、岩倉具視の策謀による代償の大きさ、明治初期に岩倉使節団が出発後に西郷隆盛が”船が沈めば日本のためになるのに・・・”という意味のことを言ったというエピソード、明治天皇や元勲たちの不可解な言動の謎などについても書かれており、信憑性はともかくとして興味深いのは確かである。

もう少し穏便に進んだ日本史がありえた以上に、南北朝の再現や英・仏・露などによる内政干渉といったひどい状況になった可能性も高いわけで、その時代を担った明治天皇や元勲たちはよくやった方だと思う。
功罪や賛否は多いと思うが、彼らだったからこそ現在の日本があると思う。

ドナルド・キーンの著書『明治天皇』からの引用が多くて関心を持ったので、そのうち読んでみたいと思う。




[本文中で引用されている、ドナルド・キーンの名著]




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