『曹操―矛を横たえて詩を賦す』:雨読夜話

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曹操―矛を横たえて詩を賦す (ちくま文庫)
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川合 康三
筑摩書房 2009-07-08

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中国の漢代末から三国時代にかけて活躍した魏の曹操を扱った作品。

『三国志演義』などでは蜀の劉備玄徳らが主人公である関係から悪役として扱われることの多い曹操だが、武将、政治家、詩人など多彩な才能を持っていることを改めて知らされる。

『三国志』は横山光輝の漫画とNHKの人形劇によるイメージが強いので、ひたすら覇権に向けて突き進んだ人物のように感じていたが、宦官の養子の家に生まれたことによるコンプレックスや左遷された際にしばらく官界から離れようとしたなど、曹操が書いた詩からその人柄がうかがい知れる。

ライバルだった袁紹や袁術が名門の家柄で領地や兵力も元々あったのに対し、曹操は宦官の家出身で財力はともかく兵力が不足しており、当初は少数精鋭主義を採り、その後黄巾賊を降伏させて青州兵として編成するなど、けっこう苦労していることが書かれている。

また、曹操が成功した一因には徹底した能力主義の人材登用と、屯田制度の採用があることが分かってくる。
当時は(後漢を始めた光武帝の方針もあって)儒教的な道徳や家柄を人材登用のファクターとされていたのに対し、曹操は自身の出自もあって素行が悪かったり身分が低くても有能な人物を熱心に採用してきたことが分かる。

古来食糧は自国から搬送するか敵の領地で略奪するかで解決してきた状態に対し、兵士に農業をさせながら進軍していくという屯田制度を推し進めたのも大きい。

結果として天下統一はできなかったが、こうした詰めの甘さもある種の魅力なのかもしれないと感じた。
史料や詩を丹念に読み解いて書かれている、興味深い一冊だと思う。




[曹操が主人公となっている漫画]
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王欣太 李學仁
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