『戦国時代の余談のよだん。』:雨読夜話

ここでは、「『戦国時代の余談のよだん。』」 に関する記事を紹介しています。
戦国時代の余談のよだん。
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和田 竜
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昨年野村萬斎主演で映画化された『のぼうの城』『忍びの国』、『小太郎の左腕』などで知られる歴史作家・和田竜による初のエッセイ。
タイトルは司馬遼太郎がよく使用したフレーズである「余談だが・・・」にあやかっているという。

雑誌で連載されていたものをまとめたもので、前半では上記3作品での制作秘話、そして後半では戦国武将たちのエピソードについて語っている。

著者は元々繊維産業の新聞社に勤める会社員で脚本家を志し、これまでに出した作品は基本的に映画用の脚本向けに執筆したものが元になっていると知り、少し驚いた。

そして『のぼうの城』の舞台である忍城(埼玉県行田市)や、『忍びの国』の舞台となった伊賀および伊勢(三重県)への取材でのエピソードが書かれている。

忍城を取材した際は個人として訪れており、自転車で忍城およびその周辺の堀や石田三成が陣を敷いた古墳などを廻った話が出てきて、現在の地形から当時の地勢を想像するのは大変そうだと感じた。
伊賀および伊勢の取材ではプロデューサー2人との取材旅行となっていて、彼らとのやり取りが面白い。

後半の戦国武将たちのエピソードを扱った部分では、家康が家臣たちに言われ放題だったエピソードがあり、特に本多正重(家康の参謀として知られる本多正信の弟)が”以ての外に直言する人なり”と書かれるほどだったことが面白い。
少し調べたところ正重は家康に対してだけでなく、滝川一益や蒲生氏郷といった仕えてきた主人たちに対しても同様の言動を繰り返してきたらしく、まだまだ知られていない歴史上の人物はいるものだと感じた。
もちろん言いたい放題なだけではなく、それだけの実績も上げていたようである。

また、著者は信長に対して魔王というイメージを期待しており、史料でしばしば出てくる神経質で説教じみた普通の人っぽいエピソードに対し、期待を裏切らないでほしい旨のことを語っているのが面白い。
武田信玄のところでも、信玄を描いたとされる肖像画が恰幅のいいものとやせ形の2種類あることで、現在有力とされる”細信玄”よりも以前よく扱われていた”太信玄”が信玄らしいと好みをあけすけに表すのがいい。

他にも、石田三成と大谷吉継の茶席での友情エピソードは、元となる史料が見つからないことから司馬遼太郎の創作だったのではないか?とあり、かなりショックを受けた。
龍馬や秀吉が明るく書かれ過ぎているように思われることや自虐史観など、司馬遼太郎が書いたことで日本人の多くが前提としてしまっている日本史上の話はもっとあるのだろう。

表紙や挿絵のイラストは芸人のキングコング・西野亮廣が描いており、シンプルなタッチで微妙に悪意がある感じなのが楽しい。

軽妙な文体で書かれ、楽しんで読むことができた。



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