『新・井沢式日本史集中講座 1192作ろう鎌倉幕府編』:雨読夜話

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新・井沢式日本史集中講座 1192作ろう鎌倉幕府編
新・井沢式日本史集中講座 1192作ろう鎌倉幕府編
井沢 元彦
徳間書店 2009-03

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『逆説の日本史』シリーズなどで知られる井沢元彦による、鎌倉幕府が成立した経緯や当時の武士たちの事情などについて解説している作品。

まず、源頼朝が征夷大将軍として鎌倉幕府を開いた背景として、地方で実際に農地を開発した武士たちが正式な土地所有権を求めていたことに応えた結果としていて、このあたりは司馬遼太郎の作品などでも読んだことがあった。
なぜ征夷大将軍という蝦夷向けの役職となったかという答えも書かれていて、前線司令官として朝廷の指示を必ずしも受けなくていいからとあり、そういうことかと納得した。

そして源氏の将軍が頼朝・頼家・実朝の三代で絶えたことの裏には、彼らが朝廷に接近したことでないがしろにされたと感じた関東の武士たちの不満、そして有力な氏族間の争いがあったとしている。
中でも、北条氏が比企氏を滅ぼす過程で、比企氏出身の妻から生まれたという理由で頼家の長男・一幡も殺されているあたりはすさまじい。

その直後に発生した承久の乱では、武士政権を倒そうと立ち上がった後鳥羽上皇が頼ったのも武士という限界を語り、鎌倉で朝廷軍を待ち構えるのではなく速やかに京都へ進撃することを決した北条政子や義時、大江広元といった幕府首脳部の戦略は正解だったと評価している。

後半では北条泰時が制定した御成敗式目について語っている。
基本的に鎌倉幕府が土地の所有権を求めた武士たちに支えられていることもあり、土地絡みの争いの解決に関する事項が多い。
その中でも悔還(くいかえし)と呼ばれる、一旦相続者に贈与した土地を取り返すことができるという条項は、世界的にも珍しいらしい。

そこから、御成敗式目や北条泰時の言動などから、日本人の思想と法律について考察している。
他国で法律の根拠となっているのは宗教であることが多いのに対し、日本の場合は宗教よりも皆の納得が優先されることが多く、相続争いに際して泰時が取った行動や大岡裁きを例に挙げている。

泰時や大岡忠相の裁きは厳密に言えば法律違反に当たるが、日本人に支持されていることがそれを裏付けているとあり、山本七平の作品にも似たことが書かれていたことを思い出した。
泰時は武士だけでなく、対立関係にある朝廷や公家からも偉い人物と絶賛されるなど、ほとんど悪い評判が書かれていない人物だったそうで、理想的な日本人を体現した人物だったように感じた。

関心のある時代の一つについて興味深い考察がなされており、楽しんで読むことができた。



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