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『[新訳]日暮硯 藩政改革のバイブルに学ぶ人の動かし方』:雨読夜話

ここでは、「『[新訳]日暮硯 藩政改革のバイブルに学ぶ人の動かし方』」 に関する記事を紹介しています。
[新訳]日暮硯  藩政改革のバイブルに学ぶ人の動かし方[新訳]日暮硯 藩政改革のバイブルに学ぶ人の動かし方

河合 敦
PHP研究所 2013-10-12

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江戸時代に真田家の松代藩において、家老の恩田木工(おんだもく)が行った藩政改革の逸話をまとめた作品である『日暮硯』(ひぐらしすずり)を現代語訳した作品。
本書のエピソードは池波正太郎の歴史小説『真田騒動-恩田木工』でも扱われている。

当時の松代藩では様々な要因によって財政危機に陥っており、幕府からの借金や領民から年貢の前借り、商人に献金を強要するなどでしのいでいる有様だった。
そのため前藩主の真田信安は原八郎五郎や田村半右衛門を担当者にして藩政改革に当たらせたが、性急だったことなどで反発され、足軽のストライキや一揆が起こったことで失敗していた。

そして信安の後継者である幸弘は親類の大名たちと相談の上、木工を藩政改革の担当者に任じることとなる。
木工はまず「うそをつかない」という公約したが、身内が守らなければ意味がないということで親族には縁切り、家来は解雇を言い渡し、そうしない代わりにうそをつかないことを約束させるところから始めた。

財政改革では支出の切り詰めや増税などがスタンダードなのは今も昔も同じなのだが、木工がやった改革は領民との信頼関係を築いてそれを前提とするところで、信頼に基づく社会がいかにコストが安くつくかが分かる。

最初に厳しい建前論を言った後に、「かく申すは理屈なり」と言って必ずしも公正でないかもしれないが現実的なことを話していくスタイルがいいテンポを生んでいる。
そして「慰みならば博打はOK」とした上での対策や、悪徳役人を「器量がなくてはできぬもの」として取り立てるなど、かなり人情に通じたと思われる政策を打ち出していく。

責任者に高い倫理観が求められてどの社会でも実現できるとは限らないが、ひとつの方法として示唆に富む内容となっている。
現代語訳で読むことができてよかった。



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