『照葉樹林文化―日本文化の深層』:雨読夜話

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照葉樹林文化―日本文化の深層 (中公新書 (201))
照葉樹林文化―日本文化の深層 (中公新書 (201))
上山 春平
中央公論新社 1969-10

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弥生時代以前に東南アジアや中国南部、そして西日本などで見られた照葉樹林文化について、シンポジウムで討論された内容をまとめている作品。
40年以上経過しているが、内容があまり古びていないように見えるのがすごい。

さまざまな専門の学者が集まり、照葉樹林文化の定義や、採集生活や農耕文化との関連、縄文文化とどうつながる課などについて話し合われている。
元気のいい発言が目立つ植物学者の中尾佐助氏を初めとして、自身の専門外のこともよく知って発言していることが伝わってくる。

植生は夏の暑さや冬の寒さ、降水量などさまざまな要素によって異なっており、例えば東日本のブナ林は夏の暑さで南限が決まり、逆に西日本の照葉樹林は冬の寒さで北限が決まってくる。
そのためどちらも生えている地域、どちらも生えていない地域が存在し、どちらも生えていない地域では汎用性のあるクリ林などが生えているという。

その照葉樹林は落葉しないことから、昼も薄暗くてじめじめしている一方で、食物となる植物も多い話に続く。
この中ではヤマイモやヒガンバナのような、あまり世話をしなくてもそれなりに育つ植物について多く語られていて、人間が生活する場所では排泄物によって肥料が散布されたり種がまかれたりなどの変化があり、単なる採集生活ではなく「半栽培」という用語が使用されている。

ヒガンバナのように毒もデンプンも含む植物の場合、毒が細胞の中に液体として存在する場合が多いらしく、つぶして水にさらすことで毒抜きをする話が出てくる。
これは『ジャガイモのきた道』に書かれていた、ジャガイモの原種を凍らせてから踏み潰すことで水分とともに毒を出す話と通じていた。
ジャガイモの原生地とされるアンデス山地では気温が低いのと水が少ないという事情のためにこうした方法が採られたのだろうと思う。

上記の植物は必ずしも食べやすいものではなかったはずで、麦や稲のような穀物が入ってくると置き換わっていく過程にも触れている。
食物や文化はシベリア経由で北から来たもの、華北から朝鮮半島を経て伝わったもの、東南アジアから江南と渡ってきたものなどと考察がなされ、多くの意見があって刺激を受ける。

興味深い内容が多く書かれていたので、他にも関連した本を読んでみようと思った。



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佐々木 高明
中央公論新社 2007-11

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中尾 佐助
岩波書店 1966-01-25

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