『世界史の極意』:雨読夜話

ここでは、「『世界史の極意』」 に関する記事を紹介しています。
世界史の極意 (NHK出版新書 451)
世界史の極意 (NHK出版新書 451)
佐藤 優
NHK出版 2015-01-08

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元外務省の佐藤優による、世界史をアナロジカル(類比的)に捉えて現代社会を分析する手法について語っている作品。
現代は冷戦後に新たな物語が構築できない中でアメリカの覇権が衰えて新・帝国主義の時代に入っていると位置づけ、資本主義と帝国主義、民族問題、宗教紛争の3つのテーマを提示している。

資本主義と帝国主義に関しては、マルクスの『資本論』とレーニンの『帝国主義』を主な文献にして、労働力の商品化が起こった経緯から資本主義と帝国主義の成立過程について書いている。
共産主義が使えないことが分かっていて、金融資本主義の弊害への対策は帝国主義かファシズム(国家社会主義)のどちらかしか現状では取ることができず、上品に使い分けるしかないとあけすけに書いているのにインパクトを受ける。

民族紛争については、これが近代に国民国家を形成する過程でできたもので、例としてハプスブルク帝国とトルキスタン(旧ソ連の中央アジア5カ国)を挙げ、さらにウクライナの内戦やスコットランドの独立問題、沖縄での問題などについても言及している。

宗教に関しては、日本ではあまり大きく報じられなかったローマ教皇の生前退位を挙げ、これがISなどの異教の過激派に対して強い姿勢を取ることを表しているものとしているのにまず衝撃を受ける。
そしてウクライナ西部の住民の多くがユニエイト教会(東方帰一教会)といってローマ教皇の指導を受ける宗派に帰属していることや、バチカンがイスラム原理主義の次に警戒しているのが中国ということ、イランはシーア派という観点だけでなく高い文明を誇ったペルシアのナショナリズムでも考えるべきことなど、普段のニュースではなかなか意識することのできない話をしている。
非合理な情念や見えない世界という言葉を使い、理屈ではないところで世の中が動いていることを書いている。これは司馬遼太郎が日本人には「絶対」という概念が理解できないと語っていたことを思い起こす。

内容の濃い話が多くて完全に理解するところまでいったかは自信がないが、歴史や民族、宗教の捉え方の手法が書かれていて参考になった。
著者の作品は本作が初めてだったので、他にも読んでみようと思う。



[参考文献に挙げられていた作品]


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