『幕末維新のこと-幕末・明治論コレクション』:雨読夜話

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幕末維新のこと: 幕末・明治論コレクション (ちくま文庫)
幕末維新のこと: 幕末・明治論コレクション (ちくま文庫)
司馬 遼太郎 (著), 関川 夏央 (編集)
筑摩書房 2015-03-10

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司馬遼太郎による、幕末や明治維新に関するエッセイや対談を集めている作品。
作家の関川夏央が編集している。

当然ながら代表作である『竜馬がゆく』にまつわる龍馬やおりょうについての話が多い。
龍馬へのさまざまな思いが書かれているが、『竜馬がゆく』を読んでいないこともあってか、その熱量に少しついていけなかった部分がある。
ブームになった頃はすごかったらしいが、そこそこ年月が経った現在の方が比較的冷静に龍馬を評価できるのではないかと思った。

龍馬に関する人では海援隊を引き継いで三菱に育て上げた岩崎弥太郎がいるが、龍馬は弥太郎をいびっていたというかあまり高く評価していなかった節があると書かれているのに少し驚いた。
吉田松陰と伊藤博文についても似たような関係である話が書かれていて、革命家の中でも思想家、実行者、調整者とタイプが異なることで、脚光を浴びる時期や考え方が違うのだろうと思った。

他にも、勝海舟とオランダの海軍士官であるカッケンディーケの関係、大村益次郎(村田蔵六)を見出した木戸孝允(桂小五郎)のすごさ、新撰組の武士よりも武士らしさを求めた志向と百姓らしい問題解決手法、江戸時代の藩と天領の文化の違い、英語やドイツ語など学んだ言語によって文化や思考法が異なることなど、多くの興味深いことが語られている。

中でも、佐幕派に斬られて瀕死の状態となっていた井上聞多(馨)に対して外科手術によって命を救った所郁太郎の話である「無名の人」は、中学校の頃に国語の教科書で初めて読んだ司馬の文章だったので懐かしい気持ちになった。
所は美濃出身の医者で緒方洪庵の適塾に学び、志士となって長州で井上を救ってしばらくして病死したために知られることが少ない。司馬がこうした後世ではあまり知られなくなった人、例えば他にも会津の秋月悌次郎などを挙げていて、こうした人々への優しさが感じられた。

巻末にある関川夏央の解説では、司馬の来歴や『竜馬がゆく』が出版されて売れるまでの紆余曲折、奥さんとの出会いなどが書かれていて、このあたりもあまり知らなかったので新鮮に感じた。

司馬作品の幕末や明治における考え方のエッセンスがつまっていて、楽しく読むことができた。



[本書の続編]

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