『天下 家康伝 下』:雨読夜話

ここでは、「『天下 家康伝 下』」 に関する記事を紹介しています。
天下 家康伝 <下>
天下 家康伝 <下>
火坂 雅志
日本経済新聞出版社 2015-04-25

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火坂雅志による、家康を主人公とした歴史小説の下巻。

上巻では人物描写や設定で入り込めないところもあったが、後半に入ると家康がどんどん成熟していくこともあってか、上巻で書かれた部分が伏線として活きたりして面白くなっていく。

築山殿事件、武田攻め、本能寺の変後の伊賀越え、天正壬午の乱(北条氏などとの旧武田領争奪戦)、小牧・長久手の合戦をはじめとする秀吉との駆け引きなど、後半生の出来事が活き活きと描かれている。

本多正信の策士ぶり、ワタリと縁の深い鳥居元忠の情報収集、側室の阿茶の局によるサポートなど、家康の家来たちによる活躍の他、著者の『臥龍の天』の主人公である伊達政宗や『虎の城』の藤堂高虎なども家康と密接に関わっていく。
上巻で家康に領土を奪われた今川氏真も、お調子者で蹴鞠の名手として権力者に擦り寄るダメぶりを楽しませてくれる。

家康が信長・秀吉の末路を見て権力の恐ろしさを感じるとともに、万民のためにあるべき天下の形を考えながら徐々に成熟していく姿が興味深い。
関ヶ原の合戦シーンは描かずに、天正壬午の乱や小牧・長久手の合戦について多くのページを割いているのもいい。

家康が残した、「大黒の極意」(大黒天は普段頭巾をかぶっているが、いざという時にはかなぐり捨てる)や、「天下は一人の天下にあらず、天下は天下の天下なり」という言葉も終章で紹介されているのが味わい深い。

著者は今年の2月に58歳で逝去されていて、もう次の作品を読むことができないのが残念である。
本書の上巻を読んだ時点では厳しい評価をしてしまったことをお詫びするとともに、ご冥福をお祈り申し上げます。




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