『日本古代史を科学する』:雨読夜話

ここでは、「『日本古代史を科学する』」 に関する記事を紹介しています。
日本古代史を科学する (PHP新書)
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中田 力
PHP研究所 2012-02-15

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医学や複雑系に関して著名な科学者による、日本の古代史を科学の視点を用いて考察している作品。

材料は『魏志倭人伝』をはじめとする中国側の史料と、『古事記』、『日本書紀』といった日本側の史料で、それらは当時の最高レベルにいた知識人によって書かれたものなので、一定の根拠があるという考え方で扱われている。

まず、邪馬台国の所在について、これまでは資料に記されている地名と現在の地名とのつながりにこだわりすぎてきたとし、当時の海岸線や地形、交通手段の合理性などから類推している。

その結果、『魏志倭人伝』で書かれている伊都国は従来疑われていなかった糸島市ではなくて佐賀県多久市周辺、奴国は佐賀市周辺、投馬国が熊本平野ときて、邪馬台国が宮崎平野にあったと推定しているのに興奮する。
さらに邪馬台国のライバルとされる狗奴国は都城あたりだろうとまで当たりをつけている。

そして記紀にある天皇の在位期間を統計的にどれくらいの割合で盛っていたかを計算の上で活躍した年代を推定したり、東アジア一体の遺伝子情報から長江下流域から日本に移住した人々が多かったことを読み解いたりしている。

その上で各地に残る言い伝えや神社や遺跡の分布などを踏まえ、奴国が呉の出身者、邪馬台国が徐福が連れてきた一団、出雲が越の滅亡で旧呉国から流れてきた人々だったと思い切った説を打ち出している。

そして国譲りにあっさり同意した事代主の家系が皇后を輩出していたことや、神武天皇、崇神天皇、応神天皇、継体天皇の代でそれぞれ皇室に変化があったことなどの解釈を行っている。

きっぱり断言するにはちょっと弱いところも多いように感じるが、一般的に語られてきた日本古代史とはかなり様相が異なっていて面白い。
著者の他の作品である、『科学者が読み解く日本建国史』も読んでみたい。





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