『劉邦(下)』:雨読夜話

ここでは、「『劉邦(下)』」 に関する記事を紹介しています。
劉邦(下)
劉邦(下)宮城谷 昌光
毎日新聞出版 2015-07-15

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
劉邦(中)
劉邦(上)
呉越春秋 湖底の城 第六巻
岳飛伝 十四 撃撞の章
他者が他者であること (文春文庫)


宮城谷昌光による、前漢の高祖劉邦を描いた歴史小説の下巻。

関中に入って秦を下す話から項羽との有名な鴻門の会、漢中王に左遷されてからの関中への反攻、反項羽勢力を糾合しての彰城制圧と直後の大敗、河南の城をめぐって項羽に攻められまくる苦闘、そして広武山における項羽とのにらみ合いと、怒涛の時期を描いている。

項羽が絶大な軍事力を持ちつつも、それゆえに弱者や敗北への理解が不足していて部下が育たなかったのに対し、劉邦は敗北を重ねながら多くの人材を見出し、戦いを重ねることで良将が育っていく過程が印象に残る。

そして「国士無双」という言葉の元となった韓信や、奇謀の士である陳平と出会って役者が揃っていく。
司馬遼太郎の『項羽と劉邦』では韓信について繊細な面を描いていたが、本書では「人の下につくことができない男」という面が強調されていて、これもまた韓信なのだろうとも感じた。

項羽についても、タイトルが『劉邦』ということもあってか、軍事能力がありすぎて普通の人の痛みが分からない人物に描かれていて、司馬遼太郎の描く項羽とそれほど離れていないように思う。

一方で劉邦を地神の声を聞きながら行動してきた人物として描き、著者はしばしば筋の通らない行いをしたことに不快感を持っていたようだが、天下や庶民のことを考慮しての判断も多かったということで認識して書いたことをあとがきで述べているのも興味深かった。

劉邦軍の約束違反によって攻められることになった斉の田横を主人公とした『香乱記』では劉邦を悪役に描いているそうで、これも気になっている。




にほんブログ村 本ブログへ
スポンサーサイト

関連タグ : 宮城谷昌光, ,

この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック