『あなたの常識間違いだらけ! 資産づくり見直しポイント』:雨読夜話

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あなたの常識間違いだらけ!  資産づくり見直しポイントあなたの常識間違いだらけ! 資産づくり見直しポイント

川淵ゆかり
セルバ出版 2015-11-25

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今後インフレと円安が進んで個人の生活が厳しくなっていく中、資産の目減りを防いでいかに生活を守るかを解説している作品。
著者は公務員からシステムエンジニアを経て、ファイナンシャルプランナーになったと奥付に書かれている。

最初に、円安、インフレ、増税、高齢化などによる経済の低迷があるべき未来であるような書かれ方をしていて、不測の事態に備えて資産を蓄えるという意図はいいものの、その根拠や明るい見通しについての記述が少ないのは楽しくない。

また、「何が起こるか分からない」と書いている一方でインフレと円安がずっと続くという見通しはやや矛盾している気がしないでもない。
大きな戦争が発生しなければデフレが持続する可能性もあるし、為替レートは海外との比較による相対的なものなので、長期的な見通しからの資産形成を語るのであればもう少し説得力のある材料を提示してほしかった。

金融商品の選択では学資保険や定額型の年金保険、財形貯蓄などは複利があったとしても元々の利率が低すぎるのでダメだとしている。
保険型商品についてはうなずける部分が多いとして、財形貯蓄はそれを運営している金融機関でローンを組みやすくなる可能性があるので、利殖以外の観点からも是非を論じてほしいところである。

また、住宅ローンなどで繰り上げ返済を頑張りすぎることで失敗する可能性も語っている。
これは利子が低いローンだと繰り上げ返済の効果が限られ、その一方で現金が必要な時に手元に残らないケースを想定していて、利子が固定したローンの場合に特に当てはまることだと理解した。

できるのであれば資産は保険よりも運用で増やすことでカバーしていく方がいいというのが基本的な考え方のようで、このあたりはまあ納得できる。

どの金融商品で資産を増やしていくのかという部分はあまり具体的に書かれていないが、想定している利率や積み立ての効果を語っているところから類推すると、株式あるいは外貨建て債券の投資信託をドルコスト平均法で積み立てていく方法が基調のようである。

資産がどれくらいの期間で増えるかシミュレーションしている表を作成することを勧めているが、株式や外貨建て債券などでの運用を意図しているのなら「大体これくらいと予想したケース」以外にも、「予想よりもうまくいったケース」、「うまくいかなかったケース」も用意した方がいいように感じた。

円安を前提としていることから外貨建ての金融商品による分散投資も主張しているが、素人と想定される読者に対して海外での銀行口座開設などを紹介しているのは賛成できない。

さらに、外貨での資産運用として外貨預金を出しているのもいただけない。
手数料や流動性、利率などを考慮すると外貨預金よりも外貨建てMMF、場合によってはレバレッジなしでのFXなどの方が有利なはずなのにこれらについて触れておらず、読者を少々甘く見すぎていないかと思っている。

主張したい内容の傾向を序盤で大体読み取ることができたので、わりと早く読み終えることができた。
ある意味、一般的にイメージされる日本のファイナンシャルプランナーらしい内容の本だと感じた。





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