『大局を読むための世界の近現代史』:雨読夜話

ここでは、「『大局を読むための世界の近現代史』」 に関する記事を紹介しています。
大局を読むための世界の近現代史 (SB新書)
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長谷川 慶太郎
SBクリエイティブ 2014-11-15

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長谷川慶太郎による、ここ150年くらいの世界史の動きがいかに現代の政治情勢に影響しているかを解説している作品。

日本の学校における歴史の授業では通り一遍にしか取り扱われない、第一次世界大戦が従来との戦争といかに異なるかということが書かれていて、具体的に知りたかった部分が書かれている。

従来の戦争と異なる背景には産業革命があり、それまでは輸送や生産に限界がきて戦争が続けられなくなるケースが多かったのに対し、産業革命でこうした制限が小さくなったことから戦争が長期化して被害も甚大になった過程が書かれている。
当時の欧州大陸では国際分業が進んでいたのでそうそう戦争は起こらないだろうと考えられていたということも述べられていて、戦争は発生するときはどうしても発生するという事例となっている。

日本は英国と日英同盟を結んでいて、日露戦争の際は英国に多大な援助を受けていたにも関わらず、第一次世界大戦でドイツに苦戦していた英国の欧州大陸への援軍要請を断ったことで英国を怒らせ、同盟を解消された上に第二次世界大戦で英国と戦うことになった話が書かれている。
これは昨今の集団的自衛権をめぐる論争に関連し、大いに参考すべき重要な教訓になっている。

戦前日本の国内問題では政治機構や軍事機構が近代戦に適していなかったことや、明治憲法の欠陥を補う憲法解釈を軍部につぶされたこと、軍事についての思想や教育が硬直化して凡庸な軍人を量産したことはどは他の本でも読んだことがあるが、軍部が批判を嫌がって軍事行動を秘密にして「軍事評論家」という職業が存在しなかったことは知らなかった。

その後敗戦に至るわけだが、その結果大陸とのしがらみが切れたことで資源の調達先や市場を世界中に求められるようになったことや、大陸に領土を持たないことで戦争に関わらずに済んだなどの利点があったとしていて、大陸に深入りするとろくなことがないという教訓にもなる。

他にも共産主義体制は戦争時は強い一方で経済発展や技術革新のモチベーションがないので長続きしないこと、多民族国家だったオーストリア・ハンガリー帝国軍や地方により話し言葉が通じない中国の人民解放軍は命令伝達がうまくいかないので戦争に弱いことなど、多くの事例を用いて歴史から導き出される政治や経済、軍事に関する話をしている。

歴史に学ぶことの重要性を再認識でき、興味深く読むことができた。





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