『読むだけですっきりわかる戦国史』:雨読夜話

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後藤 武士
宝島社 2014-07-31

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歴史を分かりやすく解説しているシリーズの戦国編。
限られたページ数の中に、応仁の乱から大阪夏の陣に至る広義の戦国時代の歴史について、かなり詳しく解説がなされている。

特に、複雑すぎるために教科書や歴史読み物などでもあまり細かく書ききれてこなかったと思われる、応仁の乱とその後の畿内における戦乱、そして関東での戦乱についても分かりやすく書かれている。

まず、室町幕府はイメージほど弱体ではないとあって驚く。
幕府の拠点が京都にあったことから半公家化した武士と表現しているが、これは弱いことを意味するのではなく、武力と政治力や交渉力を併せ持った恐るべき存在としている。

東国の武士のようにすぐに戦争を始めるのではなく、まずや朝廷や幕府へのロビー活動や裏工作によって立場を優位にし、それでも問題を解決できなかったり武力による脅しが有効と判断して初めて武力を行使するというスタンスが、いまひとつ強さが分かりにくい原因のようだ。

畿内での戦乱では、やる気がなくて隠居したいくせにあれこれ口出しばかりする八代将軍足利義政、政治的・軍事的センスに優れているのに空中浮遊の術を習得するのに没頭してしまった「魔法半将軍」こと細川政元、地方から大軍を率いて京都に乗り込んだが定着できなかった大内政弘・義興父子に三好長慶など、個性豊かな人々が活躍していたことが分かる。

家督相続争いが頻発したパターンとして、養子を迎えた後に実子が生まれたり、養子を複数迎えた後に後継者を交代させたことがあまりにも多いことから、著者はリアルタイムの歴史に学んでいないと呆れている。

また、下克上が発生するパターンとして守護がロビー活動のために京都に常駐して国元の政治を守護代などに任せたことから乗っ取りを食らうケースが多いことが書かれているが、一方で国元にばかりいるとライバルにロビー活動を仕掛けられて失脚することもあるので難しいと思った。

メジャーな時期では武田信玄の戦力や戦略について過大評価されているのではないかと疑念を示したり、愚将とされがちな今川義元や武田勝頼に対する肯定的な評価と失敗した原因、信長・秀吉・家康の性格と当時の情勢についての話、省かれがちな各地の武将たちの動向や思惑についても書かれている。

よくもまあこれだけ多くの事柄を詰め込んでいながらも、体系的に分かりやすく書いたものだとつくづく感心する。
戦国時代の概説書としては、自分が知る限りではほぼベストな作品だと思う。




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