『トウガラシの世界史 - 辛くて熱い「食卓革命」 』:雨読夜話

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トウガラシの世界史 - 辛くて熱い「食卓革命」 (中公新書)
トウガラシの世界史 - 辛くて熱い「食卓革命」 (中公新書)
山本 紀夫
中央公論新社 2016-02-24

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世界各地で幅広く利用されているトウガラシが、どのように伝わって利用されるようになったのかを解説している作品。
以前読んだ著者の『ジャガイモのきた道―文明・飢饉・戦争』が面白かったので、これも読んでみた。

まずトウガラシは南北アメリカ大陸が原産で、コロンブスによる新大陸発見をきっかけとして広まったことが書かれている。

原種は上向きに実がつき、熟しきったら弾けて種が飛び散るような特徴があり、現在の種類につながる品種改良はネイティブ・アメリカンが既に始めていたという。
その辛さは動物から食べられることを防ぐためのものだが、鳥は辛さを感じないこと、鳥の消化器では種を消化する作用がないことから、上空から見つけやすい上向きに実がつくことで鳥に食べられることで種子を広い範囲にまく戦略を取っていることになるほどと思う。

そして多くの作物、例えばジャガイモだと毒を多く含んでいるなど原種が食べるのにあまり適していないために栽培されないものが、ペルーなどではとても辛い原種も栽培して食べられているという話が出てきて少し驚く。

そして伝播した各国での栽培や利用のされ方について書かれていく。
例えばハンガリーではトウガラシの一種であるパプリカが国を代表される作物や料理として知られていたり、インド、チベット、四川省、韓国などでは古来から食べられていたように錯覚してしまうほどに定着している。

実際は数百年くらいの歴史しかなかったりするが、トウガラシが伝来する前はコショウを使用していたらしく、元々あった香辛料への需要によく合ったということなのだろう。

ブータンにいたっては香辛料としてよりも野菜として食べられているそうで、現地で少し口に入れて大変な目にあった著者は、鎖国が長く続いたために育てやすいトウガラシの利用が進んだのではないかと考察している。

日本では戦国時代に伝わって江戸時代の園芸ブームで鉢植えとして育てられていたり、一味や七味としての使用はあるものの、韓国のように大々的な利用がされなかった理由として、肉食文化の差があったのではないかとしている。
七味唐辛子のように他のスパイスと混ぜ合わせているように、マイルドにするのが日本における利用の特徴のようである。

強烈な辛さや育てやすさによって急速に普及したトウガラシもアメリカ大陸以外に伝わってからまだ数百年であり、さらにトウガラシを利用した食文化が進んでいく可能性があるとも書かれていて、期待したくなる。
『ジャガイモのきた道』のように興味深い事柄がいくつも書かれていて良かった。





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