世界各地に残る神話上の英雄と歴史上の英雄を、英雄というくくりで紹介している作品。
ナポレオン率いるフランス軍を叩きのめしたロシアのクトゥーゾフや、16世紀に地中海で海賊として活躍したバルバロッサ兄弟など、初めて知る人物も多く扱われていて興味深い部分もあるが、構成上の欠点がとても多い。
まず、神話上の英雄と歴史上の英雄を同列に扱い、しかも順番が地域や時代による考慮があまりなされていないのに非常に違和感がある。
例えば清の康熙帝(1654-1722)の次が黄帝(神話)となっていて意味が分からない。
神話と歴史はきちんと分け、国や時代、タイプなど意図のある並べ方にすべきだと思う。
次に、ところどころで不正確だったり雑な記述が見られ、信用していいのか不安にもなる。
そして、日本で有名な人物とそうでもない人物が雑多に扱われていて、ターゲットとなる読者層を想定できていないようにも感じる。
歴史好きをターゲットとして『世界史の10人』のように日本での知名度が低いがすごい人物を多く扱うか、入門として分かりやすい人物を多く扱うかの割り切りをした方がいい。
この手の英雄に関する本を出すとしたら、『世界史の10人』にあったように誰が誰をモデルとしたかを扱うとか、『ライバル国からよむ世界史』の人物版として、項羽VS劉邦、諸葛孔明VS司馬仲達、ハンニバルVS大スキピオのように、人物間の関係性を出して紹介する形で書かれていると面白いと思うし、あれば読んでみたい。
英雄についてよりも読みやすい本の構成とは?という部分の方で考えさせられるという、妙な読書感想となった。
posted with amastep

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