『「昔はよかった」病』:雨読夜話

ここでは、「『「昔はよかった」病』」 に関する記事を紹介しています。
「昔はよかった」病 (新潮新書)
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パオロ・マッツァリーノ
新潮社 2015-07-17

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『反社会学講座』『つっこみ力』の著書を読んだことがある自称イタリア生まれの戯作者による、美化されがちな昔の状態がそれほどいいものでもなかったことを新聞記事や投書、広告、統計といった具体的なデータを用いて面白おかしく語っている作品。

「道徳が低下している」、「治安が悪くなった」、「絆やふれあいが薄れてきた」といった「昔はよかった」ネタに痛烈な攻撃をしているのが面白い。
こうしたことを言う人は大体「自分は別」と考えている場合が多いという話には、確かにそうだと思った。

犯罪の件数が低下しているにも関わらず犯罪報道が増えたり、「被害額は最多」(件数は減少)のような印象操作がなされていることや、火の用心のようなパトロールはプラスよりもマイナスが大きくて始まった頃から反対され続けてきたこと、団塊の世代が最も凶悪で暴走老人という表現が合っていることなど、ひとつひとつ具体的に事例を挙げていく。

商店街の衰退についても、そもそも具体的なビジョンや方法論もなく安易に商売を始めた人が多かったなど、当事者が指摘されると嫌がるであろうデータが多い。

昔はよかったネタだけでは一本調子になると危惧したのか、コーラとウーロン茶が普及した背景や、美人やハイテンションという言葉が報道で扱われる数が増えた傾向などについての話も面白い。
例えば、下戸で知られる芥川龍之介がコーラとウーロン茶を扱ったしょうもない短歌を作って自分でウケていた(けど他人からは不評だった)という話に失笑してしまった。

本書を読んでいくと、現代は問題はそれなりにあるとはいえ、それほど悪い時代でもないように思えてくる。
メディアの報道や他人からの話をすぐに受け入れてしまうのではなく、できれば実際のデータにも当たって裏を取ることの重要性を教えてくれる1冊でもあった。






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