『先生も知らない世界史』:雨読夜話

ここでは、「『先生も知らない世界史』」 に関する記事を紹介しています。
先生も知らない世界史 (日経プレミアシリーズ)
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玉木 俊明
日本経済新聞出版社 2016-10-12

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西欧の歴史を主な専門とする歴史学者による、近年の欧米における歴史学のトレンドを紹介しつつ、学説の問題点や著者の考えも語っている作品。

これまで定説として語られていた話と異なる言説が多く、特にヨーロッパ世界の過大評価として中世のイタリアが実はそれほど豊かでなかったとか、イスラム教の帝国から地中海の交易を妨げられたという説が怪しいこと、北海やバルト海での交易の重要性など、初めて知る話が多い。

また、近代においてイギリスが覇権を握った要因には自国だけでなく、ポルトガルとオランダによる(意図しない形での)後押しが合ったという話も驚かされる。

著者は交易についての分野に詳しいようで、大航海時代も国家の影響力よりも商人たちがリードした部分が大きいことや、密輸が経済にもたらした変化が見過ごされがちなこと、銀、砂糖、綿といった資源や商品の流れについての話が面白い。

読んでいくと金融と通貨(近代だと銀が決済に使われた)、そして海運を握ったものが経済的に勝利していることが分かってくる。
この点で言えば、世界一の経済大国だった中国の王朝が自前の船をあまり出さなかったり、自国でほとんど産出しない銀を決済に用いていた状態から衰退していったのは必然であるかのように書かれていて、一理あると感じた。

そして現在の状態はというと、水野和夫著『資本主義の終焉と歴史の危機』のように、フロンティアがなくなって労働者の賃金を搾取するしかない状態にあると、少々楽しくない見立てをされている。

扱われている内容は非常に面白いが、もっと面白くて分かりやすい構成にできる余地が大きいようにも感じる。
特に、世界システム論のような歴史用語についての予備知識があまりなく、消化不良気味だった。

全体的には、日本であまり知られていない学説を紹介してくれているのが非常にありがたい。
翻訳されていない本も多いらしく、著者にはこうした本のさらなる翻訳や後進の人材育成も期待している。






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