『中国説客列伝』:雨読夜話

ここでは、「『中国説客列伝』」 に関する記事を紹介しています。
中国説客(ぜいかく)列伝 (徳間文庫)中国説客(ぜいかく)列伝 (徳間文庫)

守屋 洋
徳間書店 1986-09

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中国の戦国時代に、弁舌の力で活躍した人物を紹介している作品。

主に扱われているのは張儀、蘇秦、范雎(はんしょ)、呂不韋、呉起、田単ら9名で、この時代を舞台とした漫画である『キングダム』でも登場人物や過去の人物として登場している。

彼らの出身国を見ると趙、魏、斉のように中央に近い国の出身者が多く、楚や秦のような辺境の国の出身者が少ないように見える。
これは楚や秦が大国で他国との交流が比較的少ないこと、武力に訴えがちな傾向があるなどの理由から、知略に長けた人物が育ちにくかったのかもしれない。

単純に正攻法で説得を試みると王から反発される可能性が高く、例え話や婉曲な言い回し、相手の心理状況を読み取った上での言動など、さまざまなテクニックを用いたことが伝わってくる。

この点で同時代人だった孟子は正直すぎて、同僚の説客からからかわれているシーンも書かれている。
また、呉起のように仕事熱心すぎて周囲から孤立した人物の悲劇も書かれていて、組織で活動する上での課題と捉えることもできる。

興味深かったのは蘇秦の話で、彼は『史記』は合従策の提唱者として六カ国の宰相を兼任したように書かれているが、『戦国策』などによると燕の密命を受けて斉で謀略活動をしていただけとあり、かなりスケールが小さくなってしまっている。
これは陳舜臣の『中国の歴史(二) 』にも書かれていたように、合従策を推進した人が何人もいて、その業績が蘇秦に集約されたという説が妥当なようである。

本書の元ネタはおそらく『史記』と『戦国策』がほとんどだと思われ、この2冊の関連書を読んでいたので目新しい部分が少なかったが、予備知識があまりない状態で読む分には分かりやすいのではないかと思う。





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大城 太
三笠書房 2017-01-23

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