『抄訳・ギリシア神話』:雨読夜話

ここでは、「『抄訳・ギリシア神話』」 に関する記事を紹介しています。
抄訳・ギリシア神話 (PHP新書)抄訳・ギリシア神話 (PHP新書)

ロバート・グレイヴズ (著), 椋田 直子 (翻訳)
PHP研究所 2004-07-16

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


イギリスの詩人で作家だったロバート・グレイヴスによる、ギリシア神話のエピソード紹介した作品を抄訳したもの。

子どもの頃に世界文学全集か何かでギリシア神話を読んで概略は知っているが、阿刀田高の解説にもあるように周辺の話がいくつもあるらしく、知らなかった話も結構収録されている。

まず印象に残るのはゼウスをはじめとする神々のあまりな人間臭さで、好色なゼウス、嫉妬深いヘラ、八つ当たりをしてしまうアポロン、いたずら好きなヘルメスなど、しばしば地上の人間たちが理不尽な目に遭っていたりする。

しかも必ずしも全能というわけでもなく、冥界の王であるハデスが人間であるシシュポスの姦計にはめられたり、巨人族との戦いで劣勢に陥った際には神々が動物に化けて逃げようとしたなど、かっこ悪いエピソードも入っているのは日本神話とも通じるところがある。

ヘラクレスのように別々の話に登場する人物がいるなど、地域によって異なる話になっていたり、話を面白くするために有名なキャラクターをねじ込んだのではないかと思われるなど、神話が編纂される過程が垣間見られるのも面白い。

そして大地母神や蛇などがオリンポスの神々に敵対する役回りを演じているのは、ギリシアと敵対していた地域で信仰されてきた神々だったという説をどこかで読んだことがあり、当たっているように思う。

本書の最終話ではローマ帝国の皇帝としてギリシア・ローマの神々を最期まで信仰していたユリアヌスが死んだことでヨーロッパがキリスト教世界となり、オリンポスから神々が去ったことが書かれている。
多神教であるオリンポスの神々と、一神教であるキリスト教は相容れない存在ということなのだろう。

元々は子供向けに書かれたものらしく、1つの話の長さもそれほど長くなく、平易な文章で書かれていて分かりやすかったと思う。






にほんブログ村 本ブログへ
スポンサーサイト

この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック