世界史を経済の観点から、51のポイントで解説している作品。
貨幣が使用されるようになった話から、その後経済の拡大によって金属貨幣が不足して紙幣が使用されるようになった経緯が流れで書かれているのが分かりやすい。
特に、スペインで鋳造されたドルの銀貨がフィリピンを経由して中国にも伝わり、元、円、ウォンといった東アジアで使用されている通貨単位の呼び名の元になっていることは知らなかったので少し驚いた。
株式会社や銀行、保険といった成立過程についても多く書かれていて、例えばアメリカのFRB(連邦準備制度理事会)は他国の中央銀行とは成立過程も仕組みも異なっていることや、アメリカでは贋札が多いためにキャッシュではなくクレジットカード決済が主流となっているなど、国情の違いが少し分かるようになっているのも興味深い。
そして大国の政府や多国籍企業などの思惑による政策で、大衆の暮らしが大きく影響を受けてしまうことも特に近代以降で書かれていて、色々と考えさせられる。
著者も語っているように本書は経済のポイントを知るための本であり、興味ある分野では類書をさらに読んでいくというのが正しい使い方なのだろうと思う。
あと、(通説と一致するとは限らない)著者の考えがところどころで出ているところもあり、そのあたりは注意が必要かもしれない。
- 著者の作品について書いた記事
- 『知っておきたい「お金」の世界史』
- 『世界史の誕生とイスラーム』

スポンサーサイト
- 本を購入する
- Amazon.co.jp
- 楽天ブックスTOP : 全品送料無料に
- 本のことならHonya Club.comにおまかせ!
: 書店受け取りで送料無料