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『銀の世界史』:雨読夜話

ここでは、「『銀の世界史』」 に関する記事を紹介しています。
銀の世界史 (ちくま新書)
銀の世界史 (ちくま新書)
祝田 秀全
筑摩書房 2016-09-05

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大航海時代前後から金本位制が成立する時期にかけて、銀が交易や外交、戦争などにおいて果たしてきた役割を解説している作品。
銀だけでなく、香辛料、茶、毛織物、綿製品、穀物、木材、奴隷、砂糖、アヘン、生糸、鉛など、多くの交易品目が登場する。

まずはスペインがペルーのポトシ銀山からヨーロッパに持ち込んだ大量の銀が与えた影響の話がなされている。
ただしスペインはイギリス、フランス、オランダ、オスマン帝国などとの度重なる戦争のために財政が破綻状態になり、交戦国なのに穀物や木材の輸入先だったオランダに流れ込み、オランダがバルト海貿易もあって覇権を握る過程が描かれている。

そのオランダも銀の調達先だった日本が銀の輸出禁止をしたことやイギリスの航海条例や英蘭戦争などもあってトップの座から陥落し、国債発行による戦費の調達力のあるイギリスがフランスを破って次に繁栄していく話に移っている。

イギリスは東インド会社を活用することもあり、大西洋では奴隷や綿花、サトウキビ、インドではキャラコ(綿布)、中国(清朝)からは陶磁器や茶など、多くの品目を扱って利益を上げていく。
ただしインドや中国との貿易では輸入超過で銀が流出していったため、インドでは地方太守から徴税権を取り上げたり、中国に対してはインドで栽培したアヘンを密輸するなど、銀を還流させるシステムを作る悪賢さはすごい。

終盤では明治時代の日本が日清戦争を戦った前後の時期における、銀の取り扱いについての話にもなっている。
下関条約ではこれまでのパターンで行くと賠償金は銀で支払われたであろうところを、日本が仮想敵国のロシアとの対立などをにらんでロンドンでポンドでの支払いを求めたことや、金本位制への移行などが語られている。

教科書の記述に出てこない交易の話が多く出てきて、非常に興味深く読むことができる。
ただし、交易される品目が多くて交易ルートや貿易のやり方がいくつも出てきて、文章だけで理解しようとするとちょっとついていくのが難しい。
このあたりを図解を多用した作品に仕上げてもらえば、さらに売れるのではないかと思っている。






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