fc2ブログ

『日本人が知らされてこなかった「江戸」 世界が認める「徳川日本」の社会と精神』:雨読夜話

ここでは、「『日本人が知らされてこなかった「江戸」 世界が認める「徳川日本」の社会と精神』」 に関する記事を紹介しています。



タイトル通り、江戸時代の文化やシステムといった良さを紹介している作品。

参勤交代は鎌倉時代以来の武家社会の習慣としての軍役という意味があって幕府が質素にするよう指示をしても大名家が見栄を張って豪華な行列にしていた話や、「鎖国」とされるポルトガルやスペインの排除は人身売買をやめさせられない宣教師を取り締まる意味合いもあったこと、循環可能な社会が実現していたなど、扱われている個別の話は興味深い。

しかし、「長州政権」と表現するように現代の日本が嫌いなことを隠さずに書いていて、明治維新以降は「江戸時代を全否定」といった主観的・独断的な表現が目立って斜め読みになってしまった。

江戸時代の知られていない面を書くのはいいとして、いい面ばかりを書きすぎていてバランスが非常に悪い。
例えば人口が2倍になったのは高く評価できるとして、中期以降に停滞したことはどう評価するのか?と思ったり、森林資源の保護をしたことが書かれているが、幕末は燃料を木材に頼ってきたツケがたまって山が荒れていた話を書いていないのはどうなの?と感じたりした。
(江戸時代の段階で石炭を燃料としての利用が普及していたらどうなっていただろう?とは時々思う。)

現代を肯定したい人は1つ前の時代を否定し、現在を否定したい人は1つ前の時代を肯定してもう1つ前の時代を否定するものなのかもしれない。
少し前に田中角栄がもてはやされたのは、現在の安倍政権を下げるための対象を時代をさかのぼって探した結果なのではないか?とも想像が及んだ。

江戸時代の良さを評価することにはやぶさかではないが、明治以降の現代を否定するために書かれている感じが強すぎて好感が持てなかったし、序盤で余談が長くてなかなか本論に入らないところもテンポが悪い。
つまるところ、この著者が合わないということなのだろう。





にほんブログ村 本ブログへ
スポンサーサイト




この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック