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『なぜ名経営者は石田梅岩に学ぶのか?』:雨読夜話

ここでは、「『なぜ名経営者は石田梅岩に学ぶのか?』」 に関する記事を紹介しています。

なぜ名経営者は石田梅岩に学ぶのか? (ディスカヴァー携書)
森田 健司
ディスカヴァー・トゥエンティワン (2019-01-25)



江戸時代の石門心学で知られる石田梅岩の著作を現代語訳し、アダム・スミスの『国富論』や『道徳感情論』やドラッカーの著作などと比較することで、現代でも通用する思想であることを解説している作品。

商売を蔑視する儒学者に対して「孔子は商才のある子貢を弟子にしているので儒学が商業を貶めるのはおかしい」とか『易経』にある商業に関する記述を引き合いに出すなどして論理的に対抗しているなど、当時の身分にまつわる考え方に反論しているところが町人に受けただけでなく、石門心学に学んだ大名が何十人も出たという話はすごい。

他の思想との比較ではアダム・スミスの著作とは「共感」や「共同体への貢献」のような考え方が似ているとしていたり、カルヴァン派の「予定説」みたいな死後の世界の話はせずにあくまで現世において現在の立場で良心に従って勤勉に働くという話が興味深い。

こうした話は面白いのだが、そこから現代社会への批判につなげるところがいただけない。

まず、著者は思想史を専門とする学者ということもあるのか、実業の経験や経済・経営に関する知識が怪しいように感じる。
その人が「梅岩は商売の経験があるから他の学者とは知見が違う」みたいなことを書いていても、「ではあなたはどうなのか?」と言いたくなる。

時代の変化などの背景もなしに商業主義が行き過ぎてて・・・とか、単身者が増えるのは購買欲を喚起する社会だから・・・みたいな話をされても、あまり説得力を感じなかった。

石田梅岩に関する考察が面白いだけに、現代社会に当てはめるところのいまいちさが全体の印象を損ねるという、もったいない内容の作品だと感じている。






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