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『江戸を造った男』:雨読夜話

ここでは、「『江戸を造った男』」 に関する記事を紹介しています。

江戸を造った男 (朝日文庫)
伊東 潤
朝日新聞出版 (2018-10-05)



江戸時代前期に商人ながら幕府からの命令を受け、東廻り航路と西廻り航路の開拓、淀川や大和川、陸奥、越後などでの治水事業、越後の銀山経営など、インフラ事業で多大な業績を上げた河村瑞賢(七兵衛)の生涯を描いた歴史・経済小説。

伊勢出身で江戸に出て徒手空拳から成りあがった七兵衛は、明暦の大火に際して大老の保科正之に(衛生上の理由から)犠牲者の埋葬を優先することを直訴したことをきっかけに、東廻り航路の開拓を命じられる。

これに成功したことで次々と大事業を任されることになり、稲葉正則、新井白石、小栗正矩、堀田正俊、稲葉正休、秋元喬知、内藤重頼など、老中や家老などの知己を得たりもしている。

中でも、変な正義感に凝り固まった感じの若き日の新井白石に対し、七兵衛が武士と商人の立場や役割の違いを熱く語るシーンが面白い。

利害関係者の調整、ある程度の問題を織り込んでの計画、資金繰りや最悪の事態に際しての対応など、七兵衛が現代のビジネスにも通じるような手法を実施しているところが、感情移入しやすくしている。

当然ながら様々な障害も発生するわけで、息子や仲間を失ったりしながらも強い意志で事業に取り組む七兵衛を応援したい気持ちにさせられる。

そして、寿命が短かった時代なのに本書の半分くらいで既に七兵衛が60代半ばになっていて、その後も活躍を続けているところがすごい。

これまで名前は知っていたものの、何人分もの業績を上げている人物だとは理解しておらず、かなり驚かされた。
まだまだ知らない日本史上の偉人はいるものだと思いつつ、興味深く読むことができた。





河村瑞賢 (人物叢書)
古田 良一
吉川弘文館 1987/12/1


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