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『定本 徳川家康』:雨読夜話

ここでは、「『定本 徳川家康』」 に関する記事を紹介しています。

定本 徳川家康
本多 隆成
吉川弘文館 2010/11/1



家康に関する近年の研究実績を踏まえ、一般向けにまとめられている作品。
一次資料を重視するため書状からの話が多く、一般受けする合戦などの話は少なめとなっている。

これまでの通説と異なる話がいくつか扱われているところが興味深い。

まず、武田信玄が家康と組んで最初に今川氏真の駿河に侵攻した際は今川氏と同盟を結んでいた北条氏が素早く信玄の侵攻ルートを包囲することに成功して窮地に追い込まれた話が新鮮に感じる。
さらに家康が信玄の依頼を蹴って単独で氏真と和睦したことで、書状に「3年前の鬱憤」と書くくらい激怒したことも書かれている。

そして駿河を支配下に収めた信玄が家康および信長の領土に攻め込んだ話が扱われている。
ここでは通説と異なる話が多く、信玄は信濃から天竜川沿いに遠江に攻め込んだのではなく甲斐から駿河経由で攻め込んだこと、秋山虎繁(信友)は東美濃の岩村城を攻めておらず山県昌景と一緒に奥三河を攻めていたこと、その岩村城の遠山氏は攻められて降伏したのではなく調略で武田についたこと、信玄は東美濃だけでなく飛騨も支配下に置いたことなど、歴史小説に書かれている内容と異なっているのが面白い。

また、あまり有名ではないと思われる駿河町奉行など行政官僚のような活動をしていた彦坂光正という人物が扱われていて、マニアックな知識を得ることができた。
彼は駿府で大御所となった家康のもとで駿河町奉行を務め、その後家康の息子である頼宣について紀伊藩の家老となった話や、光正よりも知名度がありそうな彦坂元正は光正から見ると父親の従兄弟に当たることなどが書かれている。

年貢とか統治に関する書類のように必ずしも一般の読者が興味を持つとは限らない話もあるが、研究成果と一般向けを両立したしっかりした内容となった1冊だと思う。






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